破壊屋ブログ

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自転車に乗って

「この映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞」で取り上げるために観た日本映画がとても面白かった!というのが沢山ある。今までで一番衝撃だったのは『余命1ヶ月の花嫁』だ。去年だと『さよなら歌舞伎町』『娚の一生』がとても良かった。ぜんぶ廣木隆一監督で、どれも自転車に乗るシーンがある。

廣木隆一監督は自転車映画の名手なのだ。今回は廣木隆一監督の自転車シーンについて解説する。ネタバレな部分はすべてリンクにしてある。



『さよなら歌舞伎町』のオープニング

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前田敦子と染谷将太が駅前を自転車で疾走する。超人気俳優がゲリラ撮りにチャレンジ!。染谷将太はこの撮影のことを

転んだら全国のファンに殺される!

と語っていた。そりゃそうだ。

こういうのでイチイチ「道交法違反だ!」と騒がないのが映画ファンの良いところ。

『さよなら歌舞伎町』の後半

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歌舞伎町を自転車でうろつく染谷将太。このシーンは(リンク先ネタバレ

『さよなら歌舞伎町』のクライマックス

リンク先画像ネタバレ
二人乗りで女性が自転車を漕ぐのは珍しいパターン。このシーンは(リンク先ネタバレ)。希望への疾走をコミカルに表現している。

『娚の一生』の序盤

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自転車で移動中の榮倉奈々に、地元のボンクラ議員(←榮倉奈々に惚れている)が話しかける。ボンクラ議員は車をずっとバック中。町の男たちは榮倉奈々の家にヨソモノ(トヨエツ)が転がり込んできたことを心配している。面倒臭くなった榮倉奈々は「ヨソモノは殺人鬼!」と叫びながら自転車で疾走する。田舎の面倒臭さとノンビリさを表現したシーンだ。

『娚の一生』の中盤

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夏祭りを経て榮倉奈々とトヨエツが仲良くなったことを表現するシーン。奥に見えるのが祭り会場。日本の恋愛映画は「夏祭りで男女が仲良くなる」という展開が超あるあるなんだけど、このシーンはしんみり感が出ていてとても良い。しんみびりだけどセッチャリだ(自転車泥棒)。いや、あとで返すけどね。

『娚の一生』の中盤

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自転車に乗りながらケンカするシーン。「ケンカするけど仲が良い」を表現している。

『800 TWO LAP RUNNERS』の中盤

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青春映画の傑作『800 TWO LAP RUNNERS』。高校生同士が自転車に乗りながらセックスについて語る。俺も高校生の時にこの映画を観たので「えええ!みんな普通にセックスしているの!俺はしていないのに!」って感じで衝撃だった。二人乗りは肉体関係の暗喩なのか?(たぶん違う)

『余命1ヶ月の花嫁』の序盤

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瑛太と榮倉奈々が自転車に乗って街を疾走する2分間の長回しカット。ゲリラ撮影でセリフもアドリブと思われる。二人の仲の良さをしんみりと表現する名シーンだ。まだヒロインのガンが発覚していないので、この後に起きる悲劇を盛り上げる効果もある。

ちなみにこの画像は榮倉奈々が歩行者にぶつかりそうになったので、瑛太が後ろを向いて謝るところ。榮倉奈々が自転車で突っ込んでくるだけでも驚くのに、謝ってくるのが瑛太!この歩行者は死ぬほどビックリしたのではないだろうか。

道交法が変わった今だったら「歩道を自転車で走るとは危険だ!」ってクレームがつきそう。世間はクレームつけないで欲しい。

『余命1ヶ月の花嫁』の中盤

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『余命1ヶ月の花嫁』は、クライマックスの結婚式よりも中盤の余命告知シーンのほうが遥かに感動できる。解説すると(リンク先ネタバレ)。もちろん妄想のはずなのに、この映画はハッキリと妄想だとは描かない。
独り残される瑛太の絶望と、残りの余命を前向きに突っ走る榮倉奈々を表現する最高の名シーン。


廣木隆一は自転車を使って饒舌に語ってくる。俺は廣木隆一のたくさんあるフィルモグラフィーのうち、1割くらいしか観ていない。だから他にももっとあると思う。


俺の高校は自転車通学が盛んだった。自転車通学している男女の雰囲気でその二人の親密さが何となくわかった。だから自転車を使って人間関係を表現する映画には懐かしさを感じる。