破壊屋ブログ

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レズビアン映画の珍作『恋のミニスカウェポン』

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ミニスカウェポンの面々だけど、実際の主役はここに出てこないジョーダナ・ブリュースター。

『アナと雪の女王』で女王エルサがレズビアンでは?というのが議論になったり、レズビアン映画の『アデル、ブルーは熱い色』が公開されているので、便乗して俺の大好きな『恋のミニスカウェポン』(2003)を紹介する。すごい邦題だけど原題は「DEBS」だ。

『恋のミニスカウェポン』は日本でもアメリカでも女子高生版チャーリーズ・エンジェルという触れ込みの映画だった。ところが実際は恋愛映画だったので騙されてガッカリした人も多いだろう。

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女子高生スパイたちの組織名というか学園名は「DEBS」、彼女たちは世界の平和のために戦う。今日もマイケル・クラーク・ダンカンのおっさんから指令を受ける。

本当はDEBS(デブス)だけど、以降は「ミニスカウェポン」と表記する。あと高校を卒業しているので実はみんな女子大生スパイ。

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今回の敵は残虐な悪の組織の女ボス:ルーシー・ダイヤモンドだ。ルーシーと戦って生き延びた者はいない。ルーシーがアメリカにやってくる目的はロシアの女殺し屋と会談することだった。

ルーシー・ダイヤモンドを演じるのは濃い眉毛が特徴的な美人女優のジョーダナ・ブリュースター。

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ルーシー・ダイヤモンドを守る悪の軍団もいる。

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ミニスカウェポンたちはブランコにのってルーシーと女殺し屋の会談を見張る。

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実はルーシー・ダイヤモンドはレズビアンで、ロシアの女殺し屋とお見合いしていたのだ。しかし二人は性格が合わず女殺し屋は「死んでしまえ!」と怒り出す。ちなみにお見合いをセッティングしたのはボスであるルーシーのために恋人を探してくれる悪の軍団、お店の予約まで悪の軍団がやるのだ。

映画はここから観てて恥ずかしくなるくらい、ひたむきな女の子同士の恋愛映画になる。ひたむきというか…。

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最強のミニスカウェポンのエイミーがルーシー・ダイヤモンドを追い詰めるが、ルーシーはそこで反論。

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エイミーはルーシーの同性愛に驚く。

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極悪人のルーシーは正義のヒロイン:エイミーに一目惚れしてしまった。悪の軍団は「彼女は敵のDEBSだ!」と激怒するけどルーシーはもう止まらない。でもエイミーはボーイフレンドと付き合う女の子だ。

『キャッツアイ』みたいに正義と悪の恋を描いた作品はあるけど、本作はさらに相手に同性愛させる必要がある。

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エイミーへの気持ちが止まらないルーシーはその日の夜のうちにエイミーの寝室に侵入してクロスボウでエイミーを脅してデートに誘う。これ女の子映画だから「過激でカワイイ」だけど、男が絡む映画だったら大問題のシーンだろ。

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ルーシーはエイミーを口説きまくる。悪人、かつ敵、かつ女性に口説かれて困ってしまうエイミーだが、ルーシーの犯行だと思われたペルーの虐殺が無実だと分かりホッとする。

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中々口説けないエイミーだが、ルーシーは超積極派。ルーシーは敵であるエイミーと会うために、エイミーの仲間を吊り天井に閉じ込めたりする

この時点でストーリーの半分も行ってないんだけど、映画はここから凄い勢いでヌルくなり、子ども向けの恋愛映画みたいになる。少女マンガの実写版邦画すらやらないような、こっ恥ずかしくなるシーンが満載だ。ネット上の感想をググると『小さな恋のメロディ』に例えていた人がいてなるほどと思った。

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仲良くなったルーシーとエイミー。ストローで表現するのかよ!演じている女優二人も演技じゃなくてガチで笑い出している

好きな人のためなら何でもやるルーシーの姿が魅力的だ。極悪な手段だけじゃなくてサプライズ・プレゼントといった正攻法もとるし、「好きな人が正義の味方なんだから私は更生しなきゃ」と努力もする。これが男女の恋愛だったら性別がどっちでも発狂したストーカーにしか見えないけど、レズビアン映画なので可愛さしかない。

「子ども向けの恋愛映画みたい」と書いたけど、この映画はレイティングでちょっと驚くべきことが起きた。アメリカ映画では同性愛を描くとR指定になりやすいんだけど、『恋のミニスカウェポン』は正面から同性愛を描いたにも関わらずR指定のレイティングを受けなかった初の映画だ(と言われているけど他にもありそう)。

元々監督は「同性愛の映画だからR指定になるだろう」と思って濃い目のラブシーンやマリファナなんかを登場させていたらしい。しかし映画会社が「過激なシーンが無ければR指定は避けれそう」と判断して、女の子同士のラブシーンは軽目に撮り直し、マリファナのシーンは削除した。ちなみに監督のアンジェリカ・ロビンソンはレズビアンだ。

本作はアメリカでの興行も評価も惨敗、日本では劇場未公開という散々な目に遭った。しかしカルト的な人気もあるらしく、去年ジョーダナ・ブリュースターが「恋のミニスカウェポンを復活させたい」と発言した記事には支援するコメントがついていた


ハチャメチャな設定の割にはぬるま湯のような恋愛映画だが、俺もこの映画が大好きなので是非復活させてほしい。

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ルーシー(手前)の恋を歌って踊って応援する悪の軍団。悪の軍団イイ奴らじゃん。なぜ応援するのかというと、ルーシーは恋が上手くいかないと気晴らしに外国を攻撃するから。さらに悪の軍団はボスであるルーシーの更生を助けるんだよね。セリフで「悪の軍団」と説明される以外はどこが悪の軍団なのかサッパリわからない。

どうでもいいけどこの記事を書くためにDVDをコメント付きで見なおしたら、エイミー役のサラ・フォスターが延々と自分の髪型の話ばっかりしてうんざりした。あと若手女優たちが「あ、このチョイ役の男性とデートしたわ!」とかキャッキャッ語っている。日本のアイドル映画でそんなコメンタリーやったらDVD叩き割られるぞ。