『あぶない刑事(デカ)』が10年ぶりの最新作で完結する、というニュースが話題になった。そのニュース記事には「殉職」という言葉が使われている。
「あぶない刑事」10年ぶりに復活!退職か殉職か、タカとユージ最後の戦い! - シネマトゥデイ
映画の宣伝には「死ぬ死ぬ詐欺」が多い。「ついに死す!」「殉職!」とか宣伝している映画の主人公は死なないものだ。ネタバレになるからタイトルは書かないけど、「主人公が死ぬ」と宣伝したシリーズモノのアレもコレも実際には死んでいない。
当たり前だ。「主人公が死ぬ」と煽らないと映画館に客が来ない一方で、主人公を死なせて人気コンテンツを終わらすこともできない。
しかし『あぶない刑事』はそんな卑怯なマネはしない。ちゃんと殉職したのだ!!(過去形)
あまりにも酷すぎるタカとユージの追悼。(もっともあぶない刑事)
今ここで『あぶない刑事』をよく知らない人は「殉職したのに何で新作が作られるんだよ!」と思うだろう。なぜってそりゃ『あぶない刑事』の作り手もファンも殉職したことを忘れているからだよ。まあ忘れたは言い過ぎかもしれんが殉職を気にもしていないのは事実だ。
というわけで今回は『あぶない刑事』映画シリーズの殉職の歴史を紹介しよう。俺はこのシリーズが大好きなのである。もちろん全部ネタバレです。
1987年 あぶない刑事
1988年 またまたあぶない刑事
映画シリーズの第一弾と第二弾。この頃はまだ殉職オチを使っていないし、撃たれたら大ケガするなど常識的な描写が多い。第三弾以降はタカとユージが超人と化していく。
1989年 もっともあぶない刑事
当時は完結編という扱いで、初めて殉職をネタにしたのがこの第三弾。劇中ではクライマックス前にタカとユージがトオルに別れの言葉を伝えて死亡フラグが立つ。事件を解決して生還するタカとユージだが、自分たちの足元に爆弾があるのに気が付かずダンスを踊る。そして爆弾は爆発し建物が倒壊してエンドクレジットとなる。
タカとユージの足元に爆弾があることをボディーランゲージで伝えようとする仲村トオルや浅野温子たち。
エンドクレジットではタカとユージの訃報を聞いたレギュラー出演者たちが悲しむ様子を映し出す。しかし途中でガレキの中からタカとユージは這い上がるのであった。
1996年 あぶない刑事リターンズ
7年ぶりに『あぶない刑事』が復活。ラストシーンでタカとユージはミサイルの直撃を食らう。誰もが「今度こそ助からないだろう!」と思ったが、平然と生きていた。もはやタカとユージを殺すことはできないのか?
ミサイルがタカとユージに直撃!このくらいでは死なない。
1998年 あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE
「フォーエヴァーってタイトルつけてるけどどうせ死なないんでしょ?」と誰もが思っていた。しかしラストシーンでタカとユージに惨劇が起きる。「エンドクレジット後にきっと復活するだろ!」という思いもむなしく、エンドクレジット後ではタカとユージのサングラスが海に消えていき「FOREVER」という追悼のメッセージが出て完全終了となる。タカとユージは殉職したのだ。
何が起きても絶対に死なないタカとユージがどうやって死ぬかは観てのお楽しみ!俺はこのシーンを何十回も繰り返して観ているほど大好き。主人公の殉職なのにこれっぽっちも泣かせないのが潔い。
2005年 まだまだあぶない刑事
前作で死んだのに「主人公が実は生きていた!」という禁じ手を使って続編を作った。映画の序盤ではレギュラーキャラのベンガルがタカとユージを幽霊だと疑って足を調べるシーンがある。
しかし本作の復活劇はただの禁じ手ではないトリックなのだ。そのトリックとはリンク先参照。珍しくないトリックかもしれないが、人気シリーズの主人公でこのトリックを使ったのは驚愕だ。
2016年 さらば、あぶない刑事 - long good-bye -
というわけであぶない刑事は二度殉職している(と解釈できる)。二度あることは三度あるかもしれん。
『さらば、あぶない刑事』で今度こそ本当に最後のような気がするけど、これが大ヒットして「やっぱり続編作ります」になっていつまでも「さようなら、あぶない刑事」と言い続けたい。
オマケ:画像は1988年の『またまたあぶない刑事』のラストシーン。悪役の目的が国家機密法の制定推進だったので、廃案がハッピーエンドなのだ。しかし現実には去年「特定秘密の保護に関する法律」が施行された。