「ハロウィンがムカつく」
「あのバカ騒ぎが嫌だ」
「コスプレするな」
「っつーか迷惑!」
という意見はとてもよくわかる。でもハロウィンを批判している人が
「本来のハロウィンは…」
「日本人がハロウィンなんて…」
とか言ってるのを見かけると
「この人こそがイベントの時に意味を考えないタイプだろうな」
と思う*1。だって…
日本のイベントって本来の意味が失われている輸入モノばっかりじゃん!
いくつかの例を挙げてみる。起源はどれも中国だ。
イベント名 | 元々の意味 |
---|---|
七夕 | 女性の針仕事が上達するようにお祈りする。 |
節分 | 季節の分かれ目のイベントなので本来は年に4回。 |
端午の節句 (子どもの日) |
屈原(くつげん)という自殺した政治家を弔う。 |
ひな祭り | 酒と歌のフェスイベントである曲水の宴が平安時代に日本に伝わった際に、流し雛の概念が加わった。そこから変遷して今の形になった。 |
お月見 | 宋代の中国では身分に関わらず夜通し騒ぐイベント(ただし日本に伝わったのは宋代の前)。 |
お中元 | 道教の3つの祭日:上元・中元・下元の一つ。贖罪の日。 |
大晦日 | 本来は年神様を祀る日本起源のイベントだったが、輸入文化の仏教と混ざって今の形になった。 |
七五三 | これは日本起源だが、呉服屋の商売戦略で今の形になった。 |
ハロウィン嫌いの意見で
「日本人ならハロウィンよりもお月見を楽しもう!」
って意見を何度か見かけたけど、お月見は夜通し騒ぐイベントという時代もあったのだ。渋谷ハロウィンこそが本来のお月見に近い。
あとハロウィンは陰謀だ!的な意見も多いけど、ハロウィンを推進する政治家や経済団体はいない。推進する政治家や経済団体(広告代理店)が存在するイベントはYOSAKOI祭りだぞ。ハロウィンにすっかり注目を奪われてしまったが先週は東京でYOSAKOI祭りもやっていたのである。そんなYOSAKOI祭りも本来は高知のお祭りだ。
起源というのは諸説あるもんだし複数の起源が融合するものだ*2。贖罪の中元が贈り物になったり、お化けの仮装がコスプレになったりする。特に七夕やハロウィンは多様性のあるイベントなので「本来の七夕」「本来のハロウィン」って言われても
「本来ってどの本来のこと?」
という点をハッキリさせてくれないと何とも言えない。
「本来の意味が失われている」とされるイベントの代名詞的存在はバレンタインとクリスマスだ。
日本のバレンタインはここ数年でさらに意味が変わって「友チョコ」がメインになりつつある。義理チョコに一喜一憂していた俺の思い出は過去の風習になるのか(本命チョコの思い出は皆無)。
クリスマスが近づくと毎年
「日本人はクリスマスを勘違いしている!商業主義に踊らされている!」
というネタが出てくるけど、欧米だってクリスマス商戦が自国の経済を活性化させる起爆剤だ。またアメリカでは他宗教の人も楽しめるように「メリークリスマス」という言葉を使わず「ハッピーホリデー」に変更する風潮がある…というニュースはもはや毎年恒例だ。
というようにイベントの意味というのは地域や時代、商売事情や宗教事情によって変わっていくものである。本来よりも今のほうが大事だったりする。ちなみに今日は文化の日でその意味は「自由と平和を愛し、文化をすすめる」だ。
なんてことを書いたが嫌いなイベントは嫌いに決まってる!なんだよな。俺の場合、恵方巻きが嫌いだ。スーパーやコンビニに食い物を押し付けられている気がする。
ハロウィンは超楽しいよ!新ジョーカーとハーレクインと写るヴェノムの俺。これは川崎ハロウィンなんだけど、川崎ハロウィンは車道も歩けるイベントなのだ(ただしチケット購入者のみ)。
俺はハロウィンが大好きだ。
「クリスマスなんて祝ってられっかよ!ハロウィンこそ祝おうぜ!」
と10年以上ハロウィンやってきた。最近のハロウィンの急成長は俺の呪いが通じたのだろう(祝ってない)。
ところで西川貴教がハロウィンのことを
「クリスマス同様、家族で過ごすもの」
とツイートしたことがニュースになった。
「なぜハロウィンとクリスマスを同様に捉えている勘違い意見がニュースになるんだ」
と思ったけど、多くの賛同者がいた。それなら今後の日本ではハロウィンのクリスマス化やクリスマスのハロウィン化が起きるのかもしれない。それはそれで楽しそうだ。
オマケ:ロサンジェルスのハロウィン動画。