破壊屋ブログ

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トランプっぽいリベラル大統領『ヒップホップ・プレジデント』

ヒップホップ・プレジデント [DVD]

アメリカ大統領選挙を描いた映画『ヒップホップ・プレジデント』を再見した。この映画が作られたのは2003年なんだけど、日本で話題になったのは2008年。映画評論家でアメリカ政治評論家の町山智浩氏がオバマの大統領選挙に合わせて紹介したからだ。


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実際は50年どころか、候補者どころか、5年後に黒人大統領が誕生した。


映画のストーリーとはいうと、民主党の大統領候補たちが死亡する事故が発生。その結果、貧乏な市会議員である主人公が民主党初の黒人大統領候補になる。泡沫候補だった主人公だけど選挙戦を通じて旋風が巻き起こる。


自分が大統領候補になったことを全く信じない主人公の爆笑シーン↓
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俺も2008年のオバマ選挙の時に観ていたので、当時は
「この映画が現実になった!」
と驚いた。でも2017年に見返すと、主人公の選挙戦がオバマじゃなくてトランプにそっくりだったのでまた驚いた。今回はそんな画像を集めてみた。

ちなみに黒人男性の主人公はリベラルな民主党オバマ、ヒラリー)から出馬、ライバルは保守の共和党(トランプ)だ。
主人公はリベラルな政策を打ち出すけど、選挙戦はトランプそのものだ。

攻撃的な言葉で演説

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主人公は演説で汚い言葉を多用してオオウケ。女性から
「汚い言葉は使用禁止よ」
と注意されても
「男は汚い言葉を使うんだよ!」
と反論する。

イスラム過激派の捏造ニュースを流す

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ビンラディン共和党のブライアンを支持している!という偽ニュースを流すシーン)

トランプの選挙戦で卑怯だったのはヒラリーやオバマイスラム過激派と繋がっているように印象操作したこと*1。ところが『ヒップホップ・プレジデント』では主人公(民主党)は共和党対立候補に嫌がらせするために、オサマ・ビン・ラディン対立候補を支持しているという捏造ニュースを流す。

格闘技やアメフトをバカにしない

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対立候補はエリート路線を貫いている。主人公はそれに対抗するためプロレスのリングや各種スポーツの会場に登場して庶民の味方をアピールする。

現実ではメリル・ストリープの反トランプ演説格闘技やアメフトやを見下していて話題になった。メリル・ストリープの演説はトランプの選挙戦とは無関係だけどね。

不謹慎発言の隠し撮りで大打撃をうける

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主人公は銃に関する軽口を隠し撮りされ、それがメディアに流されて大打撃となる。トランプも性的な卑猥発言を暴露されて大ピンチになった。ちなみにトランプはバスの中の下ネタトークを暴露されたんだけど、主人公もバスの中でひたすら下ネタ言っていた。

記者に個人攻撃

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主人公もトランプも嫌な記者には個人攻撃する。

政治未経験を攻撃される

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主人公もトランプも政治未経験を理由に猛攻撃を受けていた。そして劇中の対立候補ヒラリー・クリントンも政治経験の豊富さを訴え続けていた。

メディアからボコボコにされる

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ここからはネタバレ!!


問題発言で支持を集める

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主人公もトランプも正直な問題発言で支持を集める。未見の人には信じられないだろうけど、両方のセリフとも劇中ではリベラルな民主党員たちが絶賛する。
この映画は性的なジョークが多いんだけど、まあHIP-HOPな映画なので…。

絶対に暗殺を防げる方法

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主人公は大統領への出馬をためらう。何故かと言うと黒人が大統領になったら間違いなく暗殺されるから。オバマも「もっとも暗殺される可能性が高い大統領」と呼ばれていた。そしてトランプも暗殺の可能性が高いと言われている。実際に暗殺の呼びかけもあったね。

で、主人公はどうやって暗殺を防ぐかというと副大統領に激ヤバの人間を使命するのだ。そうすれば誰も大統領を暗殺しなくなる。

トランプもトランプ異常にヤバい、誤字失礼、トランプ以上にヤバいペンスを副大統領にしたので
「トランプが憎くても暗殺はダメだ!もっと酷くなる!」
というジョークをよく見かける。
「暗殺する時は二人同時に!」
ってジョークもあるけど。




他にも主人公はトランプ同様に身内重視の体制を取るし*2、トランプ同様に討論会では口喧嘩に持ち込もうとする。とにかくトランプの選挙戦と同じ展開だった。この映画の政治思想は反共和党なんだけど、そんな映画がトランプ的な選挙を描いていたというのが面白い。

そして俺が再見して気になったのは「エリート層への不信感」が全編に溢れていること。劇中出て来る庶民たちはエリート層の政策に不満を感じていて、彼らの怒りの爆発が主人公を大統領にする。トランプにも同じ現象が起きたんだよね。
町山智浩氏はトランプ勝因の一つを「オバマ大統領を支持していた人たちが、トランプ支持に回った」と分析していたけど、この映画を観るとその感覚がよくわかる。


主人公とトランプが決定的に違うのは寛容主義。劇中の対立候補のキャッチコピーは
アメリカに祝福あれ!」
なんだけど、それに対して主人公が
アメリカ以外にも祝福あっていいじゃん!ジャマイカとか!」
と言い返すのがクライマックスだ。


ちなみに映画そのものは黒人観客をメインターゲットにしているので、ひたすらブラックカルチャーネタを連発するコメディ映画。俺は日本語吹替&英語字幕で再見してようやく色々と理解ができた。

おまけ

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「この映画にはヒラリー・クリントンは出演していません」という、どうでもいいクレジット。