映画『アド・アストラ』。16年前に宇宙探査に行って死亡したはずの父親が海王星で生きていることが判明。主人公は父親に会うために宇宙へ旅立つ…。
その設定、何度目だよ!って感じですが、これからも同じ設定の映画が作り続けられます。なぜかというと
- 主人公=キリスト
- 父=ファーザー(神)
だからです。
「主人公が宇宙を旅して父に会う」
というのは
「キリストが苦難の道の末に父であり創造主である神と会う」
の比喩になっているのでキリスト教圏の人にとってはシックリとくる物語なんですね。またこの手の映画の主人公は父がいないことに喪失感を感じており、これが「神の不在」を匂わせるようになっています。
ちなみに
「父さんは偉大だった」
的なオチは少なくて
「父さんに振り回された」
的な話のほうが多いです。なぜなら神は人を困らせるものだから。
宇宙で父と会う映画ベスト5
というわけで今回は宇宙旅行の果てに父親と会う映画ベスト5を決めたいと思います。順位は作品の面白さではなくて距離で決めます。
1位:327兆キロメートル
ダーウィンの進化論は嘘だった。実はエンジニアと呼ばれる宇宙人(↑の画像の人)が創造主となって人類のDNAを地球にバラまいたのだ。主人公(CV剛力彩芽)は創造主に会って話を聞くために宇宙航行に出る。まあDNAの元ネタなので父親じゃないです。
主人公が父親と宗教談義するシーン。他にも神に言及するシーンが多数。
2位:47億キロメートル
『アド・アストラ』
父に会うために海王星に行く。現在公開中の映画なので詳細は書きません。
3位:7.5億キロメートル
『インターステラー』
娘じゃなくて父親が主人公なのですが実は…。7.5億キロというのは土星への距離で、父親はもっと長い距離を旅しています。あのクライマックスに拒否反応を示す日本人が多かったですが
- 父が子に真理を託す
- 世間は父からの連絡があったことを信じていない
というのは実にキリスト的な話だったりします。ただ父=神じゃなくて父=伝道師です。
主人公たちの宇宙旅行はラザロ計画と呼ばれます。ラザロは「キリストの呼びかけで復活する人」という意味です。
4位:9千キロメートル
『コンタクト』ネタバレあり
宇宙人から主人公(ジョディ・フォスター)にコンタクトがあった。人類は転送装置を作って宇宙人と会うプロジェクトを立てる。ヴェガまで転送された主人公が出会えたのは何と父親だった…。
↑アメリカの下請け日本。
9千キロというのは、主人公が住むニューメキシコから北海道への距離です。転送装置は北海道に置かれるのです。こういったハリウッド映画でアメリカをサポートしてくれる優秀な外国はかつて日本でしたが、日本は元気のない国に落ちぶれたので今では中国とインドに置き換わっています。
主人公の旅が北海道止まりなのか?それとも惑星ヴェガまで行ったのか?は劇中でもハッキリとは描かれません(ヴェガだとしたら237兆キロメートル旅している)。ヴェガまでの転送という突拍子もないことは曖昧に描いているので、全体的にはリアルさが増す手法です。
主人公が無神論者なので「人類の95%が神を信じているのに、地球の代表者に無神論者が選ばれるのは問題では?」という議論が起きたり、映画のクライマックスは「結局、このプロジェクトって税金の使い方として正しかったの?」だったりするのも非常にリアルです。
『インターステラー』の主人公であるマシュー・マコノヒーが神の外交官役で出演しています。
5位:100キロメートル
『アフター・アース』
ウィル・スミス親子が「人間を殺すように進化した星」に不時着する。父・スミスは大怪我で動けない。息子・スミスは父・スミスから無線で指示を受けながら100キロ先の救難発信機を目指す。かつて地球と呼ばれた「人間を殺すように進化した星」の危険をくぐり抜けながら…。
父に会いに行く映画ではありませんが、父からの啓示を受けながらの旅したり仮死状態から復活したり、ちょくちょくキリストへの連想ネタを挟んできます。ただキリストよりもギリシャ神話のほうが影響強いかな。
ちなみに『アフター・アース』以外の4作品、全部母親が死んでます。
オマケ:ポリコレ的に間違っている宇宙人4コマ
『コンタクト』で超面白いシーン。宇宙人から人類に映像が送られてくるのだが…
何とヒトラーのベルリンオリンピックの映像だった!
大パニックになるアメリカ
主人公たち科学者は「いや、アレが史上初のテレビ放送だから」と反論するけど…
スキンヘッド白人のネオナチたちは大喜び。
ちなみに『アド・アストラ』と似たような設定の映画で1997年の『イベント・ホライゾン』がある。悲劇の失敗作としても有名(前倒し公開で失敗した、詳細はWikiにある)。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』も宇宙で神である父に会う話でしたね。