破壊屋ブログ

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スポ根ヒロインの物語 『ダイバージェント』

文明崩壊後のシカゴ。人類は文明を維持するために人々を性格別に5つのコミュニティに分けた。農業を担当する「博愛」、治安を担当する「勇敢」、司法を担当する「高潔」、教育を担当する「博学」、政治を担当する「無欲」。

子どもは親と同じコミュニティで育つが、16歳になったときに性格診断テストを受けてその後の人生を過ごすコミュニティを決めるのだ。だがどの性格にも当てはまらない人間は「異端者(ダイバージェント)」として抹殺される運命にある。


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全然そうは見えないけど、16歳のヒロインと素敵な教官。



この設定を知ったときは『リベリオン』みたいに新しい社会制度が生まれた未来で、『エリジウム』のようにアメリカ社会の問題点を過剰に描いて、『マトリックス』のように主人公たちが体制に反逆するんだな!と俺の頭の中で傑作中二SF映画たちが悪魔合体したけど、映画本編は懐かしのスポ根ヒロインだった。

「『ダイバージェント』は日本のアニメと似ているらしい。」っていう噂話があるんだけど、俺はその噂を聞いたときに「それって『トップをねらえ!』、それとも『エースをねらえ!』?」と思ったほどスポ根だったよ。ちなみに似ている作品は『サイコパス』ね。


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ヒロインと素敵なコーチの正しい画像。この画像が置いてあったアニメブログのデータがやたら豊富だった→アニメの森

どうしてこの設定でスポ根になるかというと、ヒロインは生まれてからずっと「無欲」のコミュニティで育っていたわけ。「無欲」の人たちはファッションが地味で料理の味付けは薄味。ヒロインはそんな生活よりも体育会系な「勇敢」に憧れていた。性格診断テストでヒロインはダイバージェントになるんだけどそこは適当にゴマカシて、ヒロインは「勇敢」に進学。「勇敢」のコミュニティは厳しい訓練を受けて、肉料理をたらふく食い、「うええええい!」って叫びまくる体育会系の世界だった。で、ヒロインは素敵な教官に出会って「教官、あなたと一緒ならどんなに辛い訓練でも耐えてみせます!」と健気に頑張るのだ。

ヒロインはダイバージェントなので、毎回の性格診断を切り抜けなくてはいけないという設定が面白い。例えばヒロインの性格を試すためにカラスの大群がヒロインを襲う。ヒロインはカラスから逃れるために水の中に逃げようとするけど、それだとダイバージェントだとバレてしまう。正解はカラスと戦わなくてはいけないのだ!

また「無欲」の描かれ方がモロにアーミッシュなので、アーミッシュで育った人が正反対の世界に入って行くカルチャーギャップの物語として面白い。

その一方で『トワイライト』級の珍作でもあって、ヒロインと教官の恋愛シーンは笑ってしまう。「教官大好き!でも私は自分の処女を守る!」ってシーンをキッチリ描いているのは、さすがアメリカのヤングアダルト層向け(ティーン・エイジャー)の作品といった感じだ。ちなみに『ダイバージェント』は『ハンガーゲーム』や『トワイライト』の会社が作った映画。そういえば『トワイライト』もヒロインが処女を捨てるかどうかで4部作持たせたけど、『ダイバージェント』も4部作の第1部だったりする。



今年公開された『エンダーのゲーム』と同じで、子どもが全寮制の「学校」に行って新しい世界を体験するという設定でもある。この設定の映画が連発されるのはハリポタの影響もあると思うけど、『フルメタル・ジャケット』の影響のほうが強く見える辺りはさすがアメリカ映画だ。