破壊屋ブログ

ネタ系映画ブログです。管理人はこの人→http://hakaiya.com/giccho

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』がキネ旬1位なのはどれくらい凄いのか?

マッドマックス 怒りのデス・ロード』がキネマ旬報でベストワンをとった!!これはかなり凄いことだ。
www.kinenote.com

キネマ旬報でベストワン取った映画といえば、2013年は愛、アムール(高齢夫婦の老々介護が悪化していく様を描いたフランス映画)、2012年はニーチェの馬(貧しい農家が終末を迎える様子を描くハンガリー映画)といったアートムービーが強い印象がある。

映画ファンよりも遥かに多くのアートムービーを見ている映画評論家たちが選ぶベストなので、アクション映画はどうしても埋もれがちなのだ。

ちなみに2014年のベストワンは『ジャージー・ボーイズ』でこれはエンターテイメント色のある映画だけど、監督はクリント・イーストウッドキネマ旬報ではクリント・イーストウッド監督作品は1位を取りやすい。過去15年の間に5回もベストワンを取っている。

しかし『マッドマックス 怒りのデス・ロード』はクリント・イーストウッド監督作品(アメリカン・スナイパー:2位)を抑えて1位になったのだ。

まあとにかく『マッドマックス 怒りのデス・ロード』みたいなカーアクション映画がキネマ旬報1位を取るのはとてもとても珍しいことなのである。

そこで過去にキネマ旬報ベストにランクインしたアクション映画を調べてみた。アクションの定義はIMDBで「Action」という区分けになっている作品だ。各年から1本づつ選んでみた。

作品名順位
2015マッドマックス 怒りのデス・ロード1位
2014ラッシュ/プライドと友情10位
2013セデック・バレ4位
2012ドライヴ8位
2011なし
2010第9地区3位
2009なし
2008ダークナイト3位
2007なし
2006グエムル 漢江(ハンガン)の怪物3位
2005スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐8位
2004ロード・オブ・ザ・リング  王の帰還5位
2003ラスト・サムライ5位
2002なし
2001JSA5位
2000グラディエーター8位
1999マトリックス6位
1998プライベート・ライアン2位
1997なし
1996なし
1995なし
1994なし
1993なし
1992なし
1991ターミネーター28位
1990なし
1989ダイ・ハード1位

つまりアクション映画がキネマ旬報ベストワンになるのは『ダイ・ハード』以来、26年振りなのだ!おめでとう『マッドマックス 怒りのデス・ロード』!*1

*1:『ダンス・ウィズ・ウルブス』や『許されざる者』みたいに西部劇が1位になることはある

永遠のテロ 老害よ神風となれ!


f:id:hakaiya:20151224034218p:plain
『マッド・マックス 怒りのデスロード』より。日本版では表現されてないけど兵士たちは「カマクレイジー・ウォー・ボーイズ」と呼ばれる。カマクレイジーとはカミカゼとクレイジーを合わせた造語だ。カマクレイジーたちは死んでヴァルハラに行くのが目的なので、死ぬことを恐れていない。支配者からは消耗品として扱われている。


f:id:hakaiya:20151224035122j:plain
日本語字幕や吹替だとカマクレイジーを「使い捨て」と表現しているけど、英語の「Old Mans Battle Fodder」を直訳すると「老人が所有する戦闘用家畜」だ。


先週の週刊新潮にすごいコラムが載っていた。コラムのタイトルは

自爆テロをカミカゼと言うな

書いているのはヤン・デンマンという自称オランダ人のジャーナリスト。ただし中の人はまちがいなく日本人。コラムの内容は、パリで起きたテロが海外で「カミカゼ」と呼ばれたことへの抗議だ。神風特攻への評価を引用しながらその素晴らしさを讃えている。

f:id:hakaiya:20151224033718p:plain

これ以降、引用は全て俺の要約である。

自爆テロは一般市民を標的にしているから、戦争の神風特攻とは違う

これは確かにその通りだ!この論点は俺も納得がいく。しかし他が酷い。

神風特攻は効果があった。その後の占領軍に恐怖を与えたのだから。

それ自爆テロの効果と同じだよ!

神風特攻隊員たちには権力を手に入れる欲は無かった。

f:id:hakaiya:20151218121915j:plain:w300
それはテロリストたちも同じだよ!

神風特攻隊員たちは祖国を憂いる貴い熱情があった。

テロリストにもISISを想う熱情があるよ!

テロリストは正規軍ではないので人権が守られることはない。

正規軍でも人権が守られない代表例は我らが日本軍だと思いますが。

回天(人間魚雷)の隊員たちは軍神になった

神って概念ならイスラム過激派の殉教者よりもタチが悪いよね。

(コラムの中盤)神風特攻は祖国と家族を想っていた。
(コラムの後半)映画やドラマの特攻は現代の価値観に基づいていて、少し問題がある

その「祖国と家族」ってヤツが現代の価値観だろ。


「そりゃ神風=自爆テロ扱いされても文句言えないよ!」という逆効果のあるコラムだ。ちなみにコラムには神風特攻が日本軍の命令であることは一切書いてない。自発的に神風になったことになっている。それに日本人たちは英霊になって靖国神社に行けると言われて特攻し、イスラム過激派たちは殉教者になって天国に行けると言われて自爆テロをする。ますます欧米の自爆テロに近いなぁ*1

そもそも神風という言葉を自爆攻撃の意味で利用したのが神風特攻隊だろ。海外に文句言える筋合いはない。*2


でもこのコラムで一番酷いのは特攻論ではない。まさに老害そのものなこんな意見を書いているのだ。↓

日本の若い世代は死ぬ意味を見つけられなくなる

f:id:hakaiya:20151218121859j:plain:w300
その死ぬ意味を見つけた人たちが今のテロリストだろうが!

週刊誌の読者の平均年齢は高齢化が進む一方で、このコラムを読んで「その通り!」と喜んでいるのも老人たちが多いはず。まず先にオマエラが死ぬ意味を見つけろよ!若い人が死ぬ意味見つけてどうすんじゃない。今からでも遅くはない。本当に神風特攻を讃えるならブラックバイトで社畜として殉じたり、医療費削減のために自殺だってできるのではないだろうか*3


というわけで週刊新潮は「海外マスコミは神風を誤った用法で使うな!」と主張しているんだけど、その日本でも過去に「乱暴なタクシー運転手」を意味する「神風タクシー」という言葉がある。
この神風タクシーという言葉を作ったのは週刊新潮なんだよね。

*1:ただしパリのテロでは犯人たちの一人が自爆する気が無いのに自爆に巻き込まれた疑惑がある

*2:フランスにおける「カミカゼ」という言葉の意味の変化はこのコラムが詳しい。 www.j-cast.com

*3:もしくは原発の廃炉作業でロボットの代わりに原子炉に突入するとか。これが本当のフクシマ・カマクレイジー(Fucucima kamakrazee)

スター・ウォーズ ニップルで覚醒

前回のエントリはスター・ウォーズ上映館への文句だけど今回は逆。

以下は著名なスター・ウォーズマニアである侍功夫さん(@samurai_kung_fu)の指摘だ。

伏せた部分をネタバレにならない程度に解説すると、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』をとしまえんのIMAXの振動座席で観るとフォースのタイプによって座席の揺れ方が違った。と侍功夫さんが言っている。

すごい上映環境もあるんだなーと思ったけど、2002年の『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』の時って上映環境による乳首問題あったよね?俺のうろ覚えだけど

  1. エピソード2は高画質のデジタルで撮影された。
  2. しかしデジタルに対応している映画館が少なかったので普通にフィルムで公開された。
  3. その後デジタル版が映画館で公開された。
  4. そのときに「高画質だからアミダラ姫の乳首のぽっちり具合が分かる!」というネタが発生
  5. 極一部の人間が乳首を探すためにデジタル上映に行った。


極一部じゃなくてもっと大勢だったかもしれない。どうでもいいうや。まあとにかく映画館も技術向上している。俺は今年『マッドマックス』で4DXを初体験してその凄さに驚いた。でも場末のボロ映画館(例:俺が大好きな横浜シネマリン)で『スター・ウォーズ』や『マッドマックス』を観るのも楽しいかも。

『スター・ウォーズ フォースの覚醒』が一番早く観られる映画館は?


f:id:hakaiya:20151222022500p:plain
本来の意味でスター・ウォーズを待っている人たちの画像

『スター・ウォーズ フォースの覚醒』を観るのに異常に待たされた!10年ぶりの新作という意味ではない。TOHOシネマズのCMの長さだ。上映開始からスター・ウォーズ本編開始までの間に以下の映像を見せられたのだ。

  • 紙兎ロペのCM
  • ライフネット生命のスヌーピーのCM
  • 『シン・ゴジラ』特報
  • 延々と続く映画の予告編、『信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)』とか
  • ワンピースのスター・ウォーズ応援映像
  • また延々と続く映画の予告編
  • MicrosoftのSurfaceのCM
  • またまた延々と続く映画の予告編
  • 『さらば、あぶない刑事』の告知
  • 最後の最後に来年のTOHO映画『ルドルフとイッパイアッテナ』が登場

実際の本編開始までの長さは19分だったけど体感時間は30分を超えていたよ。あのタイミングでSurfaceのCMが流れるのはもはやネガティブキャンペーン。昔のフィルム映画の演出「③→②→①」という数字の切替ネタが二回も流れたときは「スマホの電源入れてー」と思った。

俺はミニシアターに通っていた人間なので映画館のCMの長さには慣れていたし(近隣のミニシアターの予告編を全部観せられるのでミニシアターブームの時は酷かった)、映画館で観る予告編でテンションがアガる人種だけど、それでもTOHOシネマズのCMの長さにはウンザリさせられた。

f:id:hakaiya:20151222020817p:plain

さらにTOHOシネマズはスター・ウォーズだけ特別料金を上乗せしているのである。金払ってCMを観るという行為に「社畜」や「養分」みたいな言葉が欲しい。

公開前に「TOHOシネマズに行くとワンピースのスター・ウォーズ応援映像がある!」ってニュースが流れると世間では「そんなのいらねーよ!」ということで炎上した。でも実際に観てみるとワンピースのキャラクターたちがスター・ウォーズのコスプレしながら映画を楽しみにしている短い映像。スター・ウォーズネタをちゃんとやってくれるので、予告編地獄の中の清涼剤になっていた。


ちょっと気になったので首都圏の映画館の
「CMの長さ」=「映画館が確保している上映時間」-「スター・ウォーズ本編の上映時間(136分)」
を計算してみた。

映画館名 スター・ウォーズ前のCMの長さ
TOHOシネマズ19分
新宿ピカデリー14分
横浜ブルク1314分
ユナイテッドシネマ9分
1099分
新宿バルト99分

やはりTOHOシネマズが長い。川崎でスター・ウォーズを観るときはチネチッタか109に行けば、TOHOシネマズ川崎よりも10分も早く終わるのである。やっぱり109シネマズ好きだなぁ。何で潰れたんだ109シネマズ横浜。


最後に。こういう記事を書くと、はてなユーザーから「TOHOシネマズで観るのが悪い!」って叩かれそうだけど、俺にも色々事情があって映画館を選んでいるのである。

スター・ウォーズ グッズ販売が覚醒中

散々語り尽くされてきた事だけど改めて思う。スター・ウォーズのグッズ販売って凄いよね。本日公開される『フォースの覚醒』を盛り上げるために、今年は各企業がスター・ウォーズとのコラボ商品を出してきた。スター・ウォーズ・ティッシュとかスター・ウォーズ歯ブラシとか。


f:id:hakaiya:20151218014403j:plain
スター・ウォーズ ティッシュ。

その中でも俺が個人的に「何じゃそりゃ」と思った高額グッズを取り上げる。

スター・ウォーズトミカ:20万円

f:id:hakaiya:20151218014505j:plain
手のひらサイズじゃん…。ミレニアム・ファルコンとR2D2の二種類がある。

スター・ウォーズ自転車:15万円

f:id:hakaiya:20151218014517j:plain
メーカーは子供向け自転車専門のところ。

スター・ウォーズ冷蔵庫:100万円

f:id:hakaiya:20151218014647j:plain
これは俺が金持ちだったら買う!実際、人気商品らしい。

再びスター・ウォーズ自転車:29万円

f:id:hakaiya:20151218014736j:plain
メーカーはヘルメス!値段は倍になった。

スター・ウォーズカード:1万5千円

f:id:hakaiya:20151218020101j:plain
来年のカレンダー付き。

スター・ウォーズTシャツ:1万円

f:id:hakaiya:20151218020043j:plain
高っ!と思ったけど、暗闇で文字が変わるらしい。


俺は普通の映画ファンと同じ程度のスター・ウォーズファンなので、スター・ウォーズグッズにはそこまで興味無い。
でも俺もアホみたいに高額な映画グッズを買ったことがある。1万円のターミネーター・バスタオルである。ちなみにスター・ウォーズのバスタオルは相場通りの5千円だ。しかも大傑作のターミネーター1でも、人気が高いターミネーター2でも、俺が愛してやまないターミネーター3でもない。ターミネーター4のバスタオルなのよ。


http://hakaiya.com/contents/ss09/ss09_04.jpg
ターミネーター4のバスタオルと記念写真を撮る俺。「Terminator Salvation」の文字は隠した。

これが真のスパイ映画だ!

2015年の映画界はスパイ映画復活の年だった。以下に羅列する。

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

大ヒットシリーズ。トム・クルーズの不死身っぷりがターミネーターを超えてきた。
【Amazon.co.jp限定】ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション ブルーレイ+DVDセット(2枚組)(キャラクターカードセット付) [Blu-ray]

キングスマン

若きスパイが、世界を破滅させる悪の大富豪の陰謀を阻止する。古典的スパイ映画と現代映画の融合。
KINGSMAN / キングスマン(初回限定版) [Blu-ray]

コードネーム U.N.C.L.E.

スパイモノのドラマシリーズ『ナポレオン・ソロ』の復活。
【チラシ付き、映画パンフレット】コードネーム U.N.C.L.E.監督  ガイ・リッチー キャスト ヘンリー・カビル、アーミー・ハマー、アリシア・ヴィキャンデル、エリザベス・デビッキ、ジャレッド・ハリス、ヒュー・グラント

007 スペクター

スパイ映画の真打ち。
http://img.cinematoday.jp/res/T0/01/99/v1443692833/T0019916p1.jpg


どれも面白かったけど、主人公たちはスパイというよりも単なる超人だった。単なる超人という言い方もおかしいけど。今のスパイ映画は、美女や男の友人とイチャイチャしながら世界を救っている。リアルじゃない。主人公がどんなヒーローでも結局は人を殺す公務員という点も気になる。*1

もちろん骨太なスパイ映画もたくさんあるけど、やっぱり外国が舞台だとリアルに感じられない。だからといって日本人が主人公のスパイ活劇って言われると、俺の脳内にはアマルフィ織田裕二が出てくる。

でも日本には真のスパイ映画があるじゃないか!真のスパイ映画とは在日朝鮮人工作員を扱った映画だ。

というわけで、今回は俺が知ってる限りの朝鮮人工作員モノの日本映画を紹介する。差別用語で説明するとチョッパリとチョンを描いた映画である。

かぞくのくに

かぞくのくに [DVD]

作品名 かぞくのくに
朝鮮民主主義人民共和国の呼び方 北朝鮮
映画の内容 北朝鮮から一時的に帰国した兄と、日本に住む家族たち交流を描いた名作。
スパイの活動内容 北朝鮮から日本に帰国した者を監視する。
演じた人 ヤン・イクチュン(息もできない)
正確には工作員じゃなくて監視員。幸せな家族を監視する無愛想で冷徹な男と思いきや、監視の仕事が終わると日本のビジネスホテルに行きビールを飲みながら日本のAVを見る
f:id:hakaiya:20151130011921p:plain
憎き監視員とはいえ、そんな姿を見せられたら
「お仕事ご苦労様です、あとで飲みに行きませんか?」
と声かけたくなる名シーンだ。画像だとだらけきっている監視員だけど、このあと北朝鮮からの指令を伝える電話がかかってくると急にシャキッとなるので笑える。


黄金を抱いて翔べ

黄金を抱いて翔べ コレクターズ・エディション(2枚組)(初回限定版) [DVD]

作品名 黄金を抱いて翔べ
朝鮮民主主義人民共和国の呼び方 無し
映画の内容 6人の強盗が、大量の金塊強奪計画を立てる。
工作員の活動内容 日本での破壊工作。
演じた人 チャンミン東方神起

この映画の工作員設定はかなりアツい工作員の名前はモモで得意技術は爆破工作。日本に住んでいたが同胞に裏切られて北朝鮮から処刑命令が出た。祖国に尽くしたのに同胞たちから命を狙われる羽目になったのだ。そんなモモを拾ったのは日本の強盗たち。強盗計画のためにはモモの爆破工作が必須なので、強盗たちはみんなでモモを守ろうとする。最初は
「俺は祖国のために働いていたのに何で日本で泥棒やらなきゃいけないんだ…」
と思っていたモモも、強盗たちに絆を感じる。祖国よりも仲間のために働くことに喜びを見出すのだ。そして強盗(妻夫木聡)とモモのアツい絆はBL的な意味でアツい関係へ発展し…。

ちょっと残念なのは演じたのが東方神起チャンミンだということ。BL的には大正解のキャスティングなんだけど、チャンミンの整形顔は北朝鮮工作員に見えない。


外事警察 その男に騙されるな

外事警察 その男に騙されるな [DVD]

作品名 外事警察 その男に騙されるな
朝鮮民主主義人民共和国の呼び方 あの国
映画の内容 北朝鮮の核テロ計画を公安部外事課が食い止める。
工作員の活動内容 日本国内で北朝鮮に関する密輸を担当する会社の社員。
演じた人 キム・ガンウ


f:id:hakaiya:20151213132406p:plain
NHKの映画とはいえ差別用語も登場する。

朝鮮人が日本人と結婚して貿易会社を設立。だがその実態は密輸を担当する会社だった。外事警察は日本人妻(真木よう子)を味方に引き込み会社を捜査する。そのためにジャマとなる社員を占有離脱物横領罪で逮捕する。ネタバレは脚注に書きます*2

汚い手を使って捜査する日本人たちを主人公にしていて、見応えのあるサスペンス。社員が占有離脱物横領罪で逮捕されるんだけど、その横領罪とは「捨ててあったビニール傘を拾った」だけ。別件逮捕したのだ。中々怖いシーンである。そういえば最近も靖国神社爆発音事件の犯人が「建造物侵入容疑」で逮捕された。まあ「神社内に参拝などの目的外で侵入」ということなので別件逮捕というわけじゃないけど。


KT

KT 特別版 [DVD]

作品名 KT
朝鮮民主主義人民共和国の呼び方 北朝鮮
内容 日本で起きた金大中誘拐事件の映画化。
活動内容 韓国テロのために韓国語の勉強。
演じた人 無名の役者

劇中に登場する北朝鮮工作員は序盤のちょっとしか出てこないが、かなり過激な展開だ。

  1. 北朝鮮は韓国に送り込むテロリスト候補として在日朝鮮人に目をつけた
  2. しかし彼は韓国語をキレイに発音できない。
  3. そこで在日韓国人を韓国語の家庭教師につけて発音を教える。
  4. 日本国内で暗躍する韓国のKCIAが、無関係の家庭教師も一緒に拉致しようとする。
  5. 日本の陸上幕僚監部が、家庭教師を見逃せば拉致を見逃すと取引を持ちかける。
  6. さらに日本の陸上幕僚監部北朝鮮を牽制するために韓国のKCIAに協力する。

金大中事件当時の日本・韓国・北朝鮮の複雑で危険な関係がよくわかる名シーンだ。この「日本で工作員活動→韓国側が逮捕」という流れが起こした悲劇で最近こんなニュースがあった。
http://www.asahi.com/articles/ASHCD433FHCDPTIL00F.html


劇中で『仁義なき戦い 広島死闘篇』にハマった在日韓国人の若者が、予科練の歌の口笛を吹くと差別主義の日本人たちから
「チョンのくせに!」
と絡まれる。この若者は韓国に興味無いしそもそも韓国語が喋れない。だがこの事件移行、韓国の政治運動にハマっていく。イスラム社会との断絶がイスラム過激派を生み出す土壌になっている現状に通じるものがある。


亡国のイージス

亡国のイージス [DVD]

作品名 亡国のイージス
朝鮮民主主義人民共和国の呼び方 某国
映画の内容 海上自衛隊北朝鮮工作員が結託して反乱を起こす。
工作員の活動内容 北朝鮮工作員指導教官。
演じた人 中井貴一


f:id:hakaiya:20151130015415p:plain
工作員の男女(兄妹)が横浜スタジアムで合流するシーン。

監督は『KT』と同じ阪本順治。『KT』は韓国にシンパシーを感じる日本人の物語だけど、『亡国のイージス』は北朝鮮にシンパシーを感じる日本人の物語。さらに言うと『KT』は左翼(荒井晴彦)が脚本書いて、『亡国のイージス』はやや保守寄り。まあ監督は大変だということだ。


宣戦布告

作品名 宣戦布告
朝鮮民主主義人民共和国の呼び方 北東人民共和国
内容 日本で起きた金大中誘拐事件の映画化。
活動内容 北朝鮮の大佐。普段はカフェで働いているが、ハニートラップで集めた日本の機密情報を本国に送る。
演じた人 夏木マリ

北朝鮮の特殊部隊が日本に侵入したら、現行法で日本は対応できるのか?というのをリアルにシミュレートした映画なんだけど、夏木マリが出てくるシーンだけはリアルさがまるでない。夏木マリが大佐って…。
f:id:hakaiya:20151213133129p:plain
保守系の映画だけどラストは帰化日本人に希望を託す展開になっている。これは『グラン・トリノ』のラストシーンに近い。


ミッドナイト・イーグル

作品名 ミッドナイト・イーグル
朝鮮民主主義人民共和国の呼び方 某国
内容 北アルプス山中に米軍のステルス爆撃機が墜落死、それを北朝鮮工作員たちが狙う。
工作員の活動内容 在日米軍基地にあるステルス爆撃機に爆弾を仕掛ける。
演じた人 波岡一喜

この映画の朝鮮人スパイ平田の設定はアツい。祖国を守るために在日米軍基地のステルス爆撃機に爆弾を仕掛ける。しかし北朝鮮の本当の狙いは爆撃機内の核爆弾を日本国内で起爆することだった。平田は日本国内にいる妊娠している妻を守るために、北朝鮮を裏切り日本人たちに情報を渡す。女のために日本、アメリカ、北朝鮮全てを敵に回す!まあ本当の主人公は大沢たかおだけど。


f:id:hakaiya:20151213135533p:plain
波岡一喜、今の日本でもっともテロリスト役が似合う俳優である。



以上!どの映画も差別に繋がらないように十分に配慮されながら作られている作品なので安心するように。

オマケ:真にリアルなスパイ映画『KT』

『KT』って評判悪いけど俺は大好きな映画だ。韓国のKCIA、日本の陸上幕僚監部在日韓国人の民間団体の三つ巴を描いているんだけど、彼らのスパイ活動の描写が大変世俗的でリアルなのだ。

パーティシーン

f:id:hakaiya:20151213133351p:plain
スパイ映画っつーとド派手なパーティーシーンがあるけど、『KT』のパーティーシーンは現実的で素晴らしい。瓶ビール、出前の寿司、ピーナッツ、そしてトイレットペーパー。
パーティー(というか飲み会)の片付けをしているのが日本のスパイのリーダーというのも良い。

スパイのオフィス

f:id:hakaiya:20151213133717p:plain
スパイ映画の特徴といえば異常なまでにキレイなオフィス!『スペクター』でも後半に出てくるオフィスがSF映画みたいにキレイ過ぎてリアリティがまるで無かった。しかし『KT』で出てくるスパイのオフィスはこの昭和感*3。男たちは全員スパイ(陸幕の諜報員)で、女はカモフラージュのためにとりあえず雇った何も知らない受付嬢。この女には一切仕事が無いのでいつも暇そうにしている。大事な話を受付嬢に聞かれたら困るので依頼人に対するお茶くみもスパイたちがやるのだ

張り込みシーン

f:id:hakaiya:20151213134721p:plain
スパイ映画の張り込みシーンはいつも都合良すぎだ。主人公が張り込みを始めた瞬間に悪役たちの取引が始まる。その点『KT』はスパイたちがカップラーメンを代わりばんこに食べながら張り込みしている。そこにキャラクター紹介の字幕が入るのも渋い。

勧誘シーン

f:id:hakaiya:20151213133547p:plain
スパイ映画っつーと美女の誘惑シーンが毎回出てくるけど、男というのは美女がいきなり自分に近づいたら警戒するもんである。実際はあんなにアッサリ引っかからないよ。しかし『KT』は違う。酒を持った木下ほうか(左)が「一緒に来てくれないか」と勧誘するのだ。木下ほうかにそんなこと言われたら男としては断りにくい。絶世の美女よりも木下ほうかのほうが効果ある。

*1:キングスマンは公務員じゃないけど

*2:ネタバレ!!!社員の正体は大韓民国国家情報院の潜入捜査官だった。日本が彼を逮捕したため韓国の対北捜査はほぼ失敗となる。彼は日本の対応に呆れるが、その後韓国単独ではテロが食い止められないことを悟り、韓国を守るために悔しさをこらえて日本の外事警察に協力する

*3:実際、昭和の話だし