ちょっと前の話ですが、小説家の黒木あるじ氏から『破壊屋 プロレス仕舞伝』の献本を頂きました。同じ名前のよしみです。こんなことあるんだ。それなら『十角館』なら綾辻行人氏から、『百鬼夜行』なら京極夏彦氏から献本が頂けるのだろうか?
この小説は三部作の最終作で
- 掃除屋 プロレス始末伝
- 葬儀屋 プロレス刺客伝
- 破壊屋 プロレス仕舞伝
という構成になっています。ジャンルはプロレス小説なのですが、プロレスミステリーという側面が強いです。事件が殺人事件ではなくてプロレス事件。ミステリーなので「謎の覆面レスラー」「引退試合の謎の選手」などは、もちろん意外な人が真犯人ならぬ真レスラーになっています。私の一番のお気に入りは『掃除屋 プロレス始末伝』に出てくる「分身の術」のミステリーです。分身の術がちゃんと成立するのです(レスラーがたくさん登場するわけではない)。
最終作『破壊屋 プロレス仕舞伝』で起きる事件は、素人にプロレス技を仕掛ける配信者「破壊屋」が登場するというもの。その動きから素人ではなく本物のプロレスラーであることは間違いない。
主人公はベテランレスラーなのだが美談エピソードの持ち主だったため、マスコミから「破壊屋」の異名をつけられ人気タレントになっていた。主人公はニセの破壊屋の正体を暴こうとする、その相棒は炎上系アイドルのためあだ名が「破壊屋」になってしまったプロレス素人のアイドル!
という破壊屋だらけの設定です。オススメ。