俺のこのツイート↓がバズりました。配役だけで誰が死んで誰が犯人なのかわかる「配役デスノート」「死兆星キャスティング」とか名付けたい現象ですね。
「無名の役者だから展開が読めない。広瀬すずだったら生き残るってわかるよね。」これ、日本映画だと結構深刻な問題。日本映画は芸能人のプロモという側面が強いので、ホラー映画でも死なない女性タレントは事前に分かってしまう。
— 破壊屋ギッチョ (@hakaiya) 2018年7月24日
でも「深刻な問題」と書きましたがこれは取り消したい。死亡フラグや配役から展開を予測するのも映画を観る楽しみです。
死亡フラグが立ちまくる男
映画『ホットショット』より、出撃前に死亡フラグが立ちまくる夫婦。超好きなギャグです。
黒猫がよぎる
マイホームを購入する
子どもたちが待っている
鏡が割れる
家に帰ったら重要なサインすると約束する
地球を救う方法を思いつく
ついでにケネディ暗殺も
大事なものを渡さずにポケットに入れたままにする
お前はすでに死んでいる…と言いたくなるほど死亡フラグ立ちまくり。
案の定、夫は派手に事故死。主人公であるチャーリー・シーンが
「奥さん、見ちゃダメだ!」
と彼女を後ろ向きにするけど、後ろが鏡だったので夫の墜落をバッチリ目撃する。
最初に死ぬキャラの法則
↑のツイートはリプライや引用RTなんかに
「あの映画で有名な○○が最初に死んだのは驚いた!」
的な意見がめっちゃ多くついています。
でもそれは一番最初に死ぬのは一番ギャラが高い人という全世界共通の法則なんです。最近の例だとテレビ朝日版の『そして誰もいなくなった』で向井理が、ケネス・ブラナー版の『オリエント急行殺人事件』ではジョニー・デップが最初に死亡退場します。ちなみに両方共アガサ・クリスティ原作です。
というわけで今回は死亡フラグ(海外では「クリシェ」と言う)の話。ネタがネタだけにネタバレ多数です。
定番死亡フラグ
有名な死亡フラグは
「結婚の予定を自分から喋り始めたキャラクターは死ぬ」
「イチャついているカップルは死ぬ」
ですね。マニアックな死亡フラグだと
「靴紐を結ぶシーンがあるキャラクターは死ぬ」
とかあります。逆死亡フラグでは
「処女・童貞は生き残る」
がありますね。ホラー映画ではこのフラグを逆手に取って
「どう見ても童貞のアイツが死んだ!なんと実は童貞じゃなかった!」
という展開もあったりします。死亡フラグの法則をきちんと守りながら「あいつ童貞じゃなかったのか」と観客を驚かせる見事な手腕です。
ジュラシック・ワールドの例
アメリカ映画は日本映画よりも死亡フラグを強く主張してきます。例えばジュラシック・ワールド・シリーズでは
「イギリス英語を話す人は死ぬ」
という死亡フラグがあります。劇中でイギリス英語を喋って結婚の予定があるという死亡フラグが複数たつ女性ザラは、そりゃもう無残な死に方をする。
もちろん俺にはイギリス英語とアメリカ英語の違いなんてわかりませんが、現在公開中の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』でもイギリス英語ネタはちゃんとセリフ・字幕で説明されて、死亡フラグの上げ下げが観客にわかるようになっています。*1
人種による死亡フラグ
他にもアメリカ映画だと、死亡フラグには人種が絡んできます。黒人やメキシコ人たちのサブキャラクターが死んでいって、最後に白人たちが生き残ってハッピーエンドというのが娯楽映画の王道です。昔のジュラシック・パークシリーズなんかがその例ですね。
ちなみに最新作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』はマイノリティが生き残る一方で動物愛護精神が無い人たちがバンバン死んでいく展開です(恐竜が思想を選んで人を殺すわけじゃないのに!)。人種差別を乗り越えた結果、思想差別が生まれた感があって興味深いです。
死亡フラグを逆手に取った映画
俺のツイートへのリプライで
「ディープ・ブルーでサミュエル・L・ジャクソンが死ぬのが驚いた!」
というのが多かったですが、『ディープ・ブルー』のサミュエル・L・ジャクソン死亡ネタは、公開当時の宣伝ネタだったんです。『ディープ・ブルー』で本当に驚かされたのはサミュエル・L・ジャクソンではなくて死亡フラグを逆手に取った展開です。ホラー映画は途中で黒人が殺されて最後に白人ヒロインが勝利する。というのが定番ですが、『ディープ・ブルー』は死亡フラグが立っている黒人男性のLL・クール・Jが何度もピンチになっても死なないで結局生存。逆に白人ヒロインがいきなり死にます。
ちなみに『ディープ・ブルー』のレニー・ハーリン監督とLL・クール・Jは映画『マインドハンター』でも人種の法則を逆手に取ります。連続殺人鬼モノの真犯人は白人男性という法則を逆手に取って、黒人男性のLL・クール・Jと白人女性が生き残ってどっちかが犯人という展開。「真犯人は白人男性」という法則を知っていると逆に混乱するという仕掛けです。
日本映画の場合
日本映画はアメリカ映画よりは死亡フラグの主張が弱いですが、配役で何となく予想がついてしまう。また誰が生き残るのか何となくわかる逆死亡フラグも日本映画によくある現象です。今は収束気味ですが、アイドルたちが大量出演するサバイバルホラーが何本も作られていました。それらの作品はくだらなくも微妙に面白くて、誰かが死んで退場という緊張感が見どころ。ところがアイドルに疎い俺でも
「どっちが生き残るか全く読めないすげえ展開だ!あ、でもこっちが推されているっぽいから、こっちが生き残るんじゃないかな?」
と予想ついてしまう。去年の誰映画でも書きましたが、全員生き残るホラー邦画が増えているのも、映画はアイドル俳優たちのプロモという側面が影響しているんじゃないかなと思ってます。
ただ読めるから悪い!というわけじゃなくて、そういうのも映画を観る楽しみです。
オマケ:日本映画の死亡フラグ ベスト3
最後に日本映画の配役からわかる死亡フラグベスト3を紹介します。
1位:新垣結衣の結婚相手
新垣結衣との婚約はデスノートに名前も書かれたも同然の死亡フラグです。『恋空』『トワイライト』みたいに結婚相手が死ぬことをウリにしている映画や、『麒麟の翼』『BALLAD 名もなき恋のうた』みたいに結婚相手にあからさまに死亡フラグが立っている映画ならまあわかるんですがね。新垣結衣が学校の音楽教師を演じて合唱チームを率いる青春映画『くちびるに歌を』みたいに死亡要素が全くない映画でも新垣結衣の結婚相手は死にます。新垣結衣の出演作を追っていると、まるで保険金目当ての夫殺人に見えてくる。
2位:主人公が20代~30代の映画のご両親役のどちらか
主人公は20代~30代で自身に悩みを抱えていて、親のことをちゃんと考えていない。親を演じるのは知名度の低い演技派の俳優。これはもう死亡フラグです。中盤で実家から親が亡くなったと連絡が来るのがお約束。
この展開の日本映画があまりにも多すぎるため、この死亡フラグを逆手に取った映画も存在します。『WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常』は明らかに死亡展開の親に結局何も起きないで健康!というギャグがあります。ベテラン監督の作品はこういうところがお見事。
3位:大沢たかお
大沢たかおはフラグじゃねーよ!というツッコミするなかれ。2000年代の大沢たかおは映画の中でとにかく死にまくりました。一流男性芸能人たちって死ぬイメージが無い人が多いのに(キムタクとか福山雅治とか)、大沢たかおはどことなく死のイメージがある。だから2000年代のお涙頂戴日本映画ブームの中で重宝されたのでしょう。俺も友達に
「この映画ってどういう映画なの?」
って聞かれたら
「大沢たかおが死ぬ映画だよ」
「なるほど!」
という会話が成立しました。
*1:発音ではわからないけどファッションで何となくわかる