ハッシュタグ『#2022年映画ベスト10』を集計しました!有効投票3785名が選んだ2022年最高の映画は『トップガン マーヴェリック』でした!
1位:トップガン マーヴェリック
80年代は映画や音楽の商業主義路線が批判された時代で、その代表格が『トップガン』でした。それが最新かつ最強のコンテンツとして現代に蘇るとは!私も長年、映画が起こす奇跡を目撃してきましたが、絶賛される『トップガン』はまさに新しい奇跡です。
2位:RRR
このランキングについにインド映画が登場!しかも2位!トップガンの空中戦や、スパイダーマンの奇跡を超える衝撃の映像体験が満載です。ここ数年議論になっている「映画が歴史を改変してよいのか?」問題に対する回答にもなっています。
3位:スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
スパイダーマンの映画化には苦難が伴います。トビー・マグワイア版は三作目でトラブル続出したため打ち切り、アンドリュー・ガーフィールド版は二作目で打ち切りでした。スーパーヒーローが過去の悲劇と対峙するのと同様に、この映画そのものが過去のスパイダーマン映画の悲劇と対峙したのです。
4位:コーダ あいのうた
聴覚障害者の家族の中で唯一、聴覚がある娘に歌の才能がある。という物語です。元ネタになったフランス映画『エール!』は2015年の本企画で70位でしたが、今回は4位という見事な成長振り。アカデミー賞を受賞したという実績だけではなく、聴覚障害者の役柄には本当の聴覚障害者たちをキャスティングしたという部分も高く評価されました。
5位:THE FIRST SLAM DUNK
日本映画1位が『THE FIRST SLAM DUNK』なるなんて、集計が終わるまで全く予想していませんでした。公開前の声優降板に伴う炎上騒ぎからの大逆転!炎上して不人気になる映画も、SNS口コミで人気になる映画もたくさんありますが、ここまで両極端を経験した映画も珍しいです。
6位:NOPE/ノープ
↓のGIF画像は映画=活動写真の原点である「動く写真」です。このGIF画像を撮った人は世界的な有名人になりましたが、写っている黒人のジョッキーは無名のまま消えました。
映画愛を駆使してこのジョッキーを再評価するという一風変わったホラー映画です。Nope(ムリ!)というタイトルの意味は、監督の「ホラー映画がムリ!という人にも、この映画を観てほしい」というダジャレ的な意味が込められています。
7位:THE BATMAN -ザ・バットマン-
ベン・アフレックのバットマンを降板させ、ロバート・パティンソン(ゼロ年代にアメリカの女子中高生に人気があった)を起用。バットマンをイチからやり直すけど、バットマン誕生の物語に一切触れない、そして上映時間3時間の暗黒ミステリー!という野心的すぎる狙いが公開前にアメコミファンたちを不安に叩き落とした本作ですが、これらの狙いは見事に大成功しました。
8位:すずめの戸締まり
災害と向き合う映画が多いのが日本映画です。映画を通じて被災を乗り越えようという意思を感じます。そして新海誠が「災害」を過去二作のようなファンタジーではなく現実のモノとして取り組みました。東日本大震災を体験していない世代もどんどん成長していますが、『すずめの戸締まり』を通じて被災地からの語りかけが続いているのかも。
9位:ブレット・トレイン
殺し屋達が一箇所に集まり殺し合って映画の後半はドンデン返しが延々と続く。同じ設定の映画が無数にありますが(しかも大抵はイマイチ)、『ブレット・トレイン』が他の映画と違って突き抜けた面白さを保ち続けたのは「日本の新幹線が舞台」という珍妙さをキッチリやり通したからでしょう。
10位:シン・ウルトラマン
初代ウルトラマンは「要素」が多すぎるコンテンツです。衝撃の第一話、アナログを駆使した特撮、不思議な効果音、ウルトラマンの不気味的なまめかしさ、女性隊員のフェティシズムな魅力、そして当時の子どもたちを絶望に追い込んだ最終回。これらの要素を見事に、そしてある意味そのままの形で復活させてくれました。
2022年の映画ベスト100
順位 | タイトル | 得点 |
---|---|---|
1 位 | トップガン マーヴェリック | 15042.0 |
2 位 | RRR | 9947.5 |
3 位 | スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム | 8845.0 |
4 位 | コーダ あいのうた | 6432.5 |
5 位 | THE FIRST SLAM DUNK | 6174.0 |
6 位 | NOPE/ノープ | 6015.0 |
7 位 | THE BATMAN-ザ・バットマン- | 4501.0 |
8 位 | すずめの戸締まり | 2816.5 |
9 位 | ブレット・トレイン | 2749.0 |
10 位 | シン・ウルトラマン | 2557.5 |
11 位 | ちょっと思い出しただけ | 2363.5 |
12 位 | ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス | 2304.0 |
13 位 | カモン カモン | 2300.0 |
14 位 | さがす | 2282.0 |
15 位 | ケイコ 目を澄ませて | 2209.5 |
16 位 | ハケンアニメ! | 2206.5 |
17 位 | さかなのこ | 2103.0 |
18 位 | 恋は光 | 1877.0 |
19 位 | リコリス・ピザ | 1872.0 |
20 位 | ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー | 1826.5 |
21 位 | アバター:ウェイ・オブ・ウォーター | 1772.0 |
22 位 | TITANE/チタン | 1723.0 |
23 位 | ベルファスト | 1674.0 |
24 位 | 女神の継承 | 1635.5 |
25 位 | マイスモールランド | 1623.0 |
26 位 | ある男 | 1522.5 |
27 位 | 犬王 | 1494.0 |
28 位 | フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 | 1451.0 |
29 位 | LOVE LIFE | 1416.5 |
30 位 | わたしは最悪。 | 1414.5 |
31 位 | 流浪の月 | 1345.0 |
32 位 | メタモルフォーゼの縁側 | 1289.0 |
33 位 | 秘密の森の、その向こう | 1274.0 |
34 位 | MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない | 1196.5 |
35 位 | 窓辺にて | 1149.5 |
36 位 | モガディシュ 脱出までの14日間 | 1119.0 |
37 位 | ゴーストバスターズ アフターライフ | 1019.5 |
38 位 | 神は見返りを求める | 996.5 |
39 位 | ウエスト・サイド・ストーリー | 968.5 |
40 位 | エルヴィス | 962.0 |
41 位 | 四畳半タイムマシンブルース | 941.0 |
42 位 | こちらあみ子 | 923.0 |
43 位 | アフター・ヤン | 919.0 |
44 位 | 私ときどきレッサーパンダ | 894.5 |
45 位 | ナイトメア・アリー | 873.0 |
46 位 | ブラック・フォン | 864.5 |
47 位 | ブラックアダム | 828.0 |
48 位 | かがみの孤城 | 824.0 |
49 位 | ONE PIECE FILM RED | 818.5 |
50 位 | ザ・メニュー | 769.5 |
51 位 | アンビュランス | 751.5 |
52 位 | ソー:ラブ&サンダー | 740.5 |
53 位 | ベイビー・ブローカー | 725.5 |
54 位 | みんなのヴァカンス | 715.0 |
55 位 | ザリガニの鳴くところ | 707.0 |
56 位 | ナイブズ・アウト:グラス・オニオン | 704.5 |
57 位 | アネット | 689.5 |
58 位 | 愛なのに | 689.0 |
59 位 | サバカン SABAKAN | 685.5 |
60 位 | マッドゴッド | 662.5 |
61 位 | 死刑にいたる病 | 658.5 |
62 位 | 哭悲/THE SADNESS | 649.5 |
63 位 | グレイマン | 635.0 |
64 位 | SING/シング:ネクストステージ | 633.0 |
65 位 | グリーン・ナイト | 632.0 |
66 位 | マイ・ブロークン・マリコ | 630.0 |
67 位 | グリーンバレット | 626.0 |
68 位 | あのこと | 625.0 |
69 位 | PLAN 75 | 616.5 |
70 位 | 犯罪都市 THE ROUNDUP | 606.5 |
71 位 | ユンヒへ | 597.0 |
72 位 | ガンパウダー・ミルクシェイク | 592.5 |
73 位 | ブルー・バイユー | 577.0 |
74 位 | セイント・フランシス | 571.5 |
75 位 | ギレルモ・デル・トロのピノッキオ | 571.0 |
76 位 | HIGH&LOW THE WORST X | 563.5 |
77 位 | ヘルドッグス | 553.5 |
78 位 | パリ13区 | 550.5 |
79 位 | 春原さんのうた | 544.0 |
80 位 | FLEE フリー | 534.0 |
81 位 | ハウス・オブ・グッチ | 529.0 |
82 位 | X エックス | 528.0 |
83 位 | ニトラム/NITRAM | 524.5 |
84 位 | ペルシャン・レッスン 戦場の教室 | 481.0 |
85 位 | ニューオーダー | 475.0 |
86 位 | 線は、僕を描く | 461.5 |
87 位 | プレデター:ザ・プレイ | 460.0 |
88 位 | シャドウ・イン・クラウド | 444.5 |
89 位 | 三姉妹 | 432.5 |
90 位 | スティルウォーター | 430.5 |
91 位 | ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 | 425.0 |
92 位 | LAMB/ラム | 423.0 |
93 位 | ボイリング・ポイント/沸騰 | 421.0 |
94 位 | 呪詛 | 417.0 |
95 位 | 映画ゆるキャン△ | 415.5 |
96 位 | MEMORIA メモリア | 410.0 |
97 位 | ライダーズ・オブ・ジャスティス | 402.0 |
98 位 | バッドガイズ | 397.5 |
99 位 | ドラゴンボール超 スーパーヒーロー | 396.0 |
100 位 | クライ・マッチョ | 395.0 |
ベストテン総評
- 『トップガン マーヴェリック』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『THE FIRST SLAM DUNK』『THE BATMAN -ザ・バットマン-』『シン・ウルトラマン』。TOP50内には『ゴースト・バスターズ アフターライフ』に『ウエスト・サイド・ストーリー』。どれも過去作からの復活がテーマですね。新規コンテンツが作りにくい!と表裏一体の現象とはいえ、オリジナル越えの勢いで復活してくれるのは映画ファンとして胸熱です。
- もう一つのベストテンの傾向は「想像を絶する映画体験が出来る」作品が多いことです。配信の時代だからこそ大スクリーンを生かした作品が生まれています。
- 過渡期に入った感があるアメコミ映画ですが『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『THE BATMAN -ザ・バットマン-』の2つがランクイン、やはりアメコミ映画は圧倒的な強さです。
- 1位と2位は私も高く評価していますが、両方ともナショナリズムが強いのはちょっと気になっています。特に『トップガン マーヴェリック』が空爆をとことんスマートに描いているのが…。
- 新海誠とジョン・ワッツは三作連続でベストテン入りしました。オリジナル企画でベストテン入りし続ける新海誠はかなり凄いです。
ベストテン以降の注目作
- このランキングのあるある現象の「本国で評判悪い映画がなぜかランク内になる」は『クライマッチョ』『ハウス・オブ・グッチ 』です。『ブラックアダム』も本国の評価に比べて高い順位になりました。
- 年末の話題作『マッドゴッド』の60位は大健闘です。集計がもう一ヶ月遅ければ、もっと上位に行ったはず。『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』も同じストップモーションアニメですが、TOP100は毎年ストップモーションアニメが登場しますね。CG技術が一般化した現在では、クリエイターの創作魂を刺激するのはストップモーションアニメなのでしょう。
- このブログは「はてな」というサービスを使っていますが、はてなユーザーが原作を書いた『ヘルドッグス』が77位。2023年はもうひとつのはてなユーザー映画『ロスト・ケア』も公開されます。
- 絶賛映画よりも、色々と批判もあった映画のほうが上位になりやすい傾向があります。これは有効投票数が例年よりも多いからです(有効投票数が多いほど話題作が有利になる)。
日本の実写映画TOP5
2021年に引き続き日本映画が大健闘で、TOP50のうち20本以上が日本映画です。この企画を始めた数年間はアメリカ映画だらけだったのに…。日本映画のレベルアップというよりもTwitterを使っている世代に「日本映画を観る」という慣習が根付いている感があります。良い傾向だと思います。
非英語の外国映画TOP5
『マイスモールランド』が日仏合作なことを考えるとフランス映画が評価高い年でした。
- RRR(インド)
- TITANE/チタン(フランス)
- 女神の継承(韓国・タイ)
- わたしは最悪。(ノルウェー)
- 秘密の森の、その向こう (フランス)
去年「来年は中国映画が入るのでは?」と書きましたが、中国映画はゼロ。その代わり62位の『哭悲/THE SADNESS』と94位の『呪詛』が台湾映画です。
奮わなかった映画
- 大ヒット作の『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』がTOP100圏外でした。
- ディズニーの新作でトム・ハンクス主演の『ピノキオ』が得票がわずかでした。『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』や同じディズニー配信の『プレデター:ザ・プレイ』がTOP100に入っていることを考えると、かなりの不人気です。同じディズニーの『ストレンジ・ワールド』も得票わずか。
- 私の見落としかもしれませんが、TOP100からドキュメンタリー映画が消えたような。ドキュメンタリー映画が人気高かったのは配信ブーム当初だけだったのかな。
集計方法の一部変更
- 実は今まで「日本映画」と「外国映画」に分けていた投票はそれぞれ上位5本だけを集計していました。しかし数千人も集計するとなると、この作業が一番時間がかかるので、今回から分けないことにしました。そのため日本映画はやや加点が多い傾向にあります
- とはいえ日本映画だけベストテンに上げる人は、マニアックな映画に投票する傾向があるのでTOP100にはほぼ影響無いです。
- こういった集計のブレが一番無い映画ベストで、誰もが参加できる形式なのはCoCo映画賞です。なので今回の投票結果に納得いかない皆様はCoCo映画賞に参加してみてください。
Top 10 Movies of 2022 in Japan
集計について
集計ルール
集計ルールについては↓を参照してください。
http://hakaiya.hateblo.jp/entry/2019/10/15/234307
集計の苦労
似ているタイトル
今回は「バットマン」問題と「マスター」問題がありました。
↑注意喚起したのですが、それでも『ザ・バッドマン』と書く人が続出。バットマンはコウモリだから「バット」なんだよ…。そういえばお尻(BUTT)をネタにしたバッツマンもあるよね。
表記揺れ
表記揺れが一番多い映画は前作に引き続き『ソー:ラブ&サンダー』でした。
映画沼にハマるのは20代30代が多く、今回の投票者にも多い世代なのですが、これが絵文字世代です。
↑のようにタイトルを絵文字で表現している人が増えています。今回は目視確認で対応しましたが、来年からは集計機能に絵文字解析機能も入れよう…。
その他
- 無効にしましたが『ショーシャンクの空に』に投票する人が多数発生。やはりテレビ放映の影響が大きいです。
- 集計機能が自動的に除外しますが↓のような多重投稿が例年よりも増えました(悪いことだとは思っていません、逆に作品愛がよく分かる良い行為です)。
得点調整
今回はTOP100に絡む得点調整は無しです。
次回はアニメ邦画ベスト!
1月下旬からアニメ邦画ベストの投票を開始します。告知をお待ち下さい。2021年に引き続きアニメ邦画が好調だったので、激しい順位争いが発生しそうです。『すずめの戸締まり』が湘北バスケ部みたいな逆転勝ちを決めるのか!?(集計ルールが違うので逆転が発生しやすい)