破壊屋ブログ

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指を詰めた元ヤクザがアメリカのIT業界で活躍する『この指とまれ』

ニューヨーク版シャーロック・ホームズが活躍する海外ドラマ『エレメンタリー』にハマっているんだけど、指を詰めた元ヤクザの義指がアメリカ軍の核ミサイルシステムを震撼させるエピソード『この指とまれ』が良い意味での珍作だった。ネタバレ紹介します。

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↑ニューヨークのヤクザ事務所。外国から見た日本社会はやっぱりこうじゃないとね!

日本人が殺された

ニューヨークで日本人が殺される事件が発生、被害者は小指が無くて義指を使っていた。日本語も喋れて日本文化に詳しいホームズは「ユビツメ」だと気づく。そして被害者は元ヤクザだということも。
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↑これがニューヨーク版シャーロック・ホームズ。

義指の秘密はUSBメモリだった

日本人の義指はUSBメモリになっていて、その義指が盗まれていた。ホームズは日本の警察の協力を得て、元ヤクザが企業を脅迫する「ソーカイヤ(総会屋)」だったことを知る。ということは義指内に殺される原因となった脅迫用の企業情報があるのでは?と推理するが…。
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↑本編は義指を探す物語になる

第一の容疑者は現役ヤクザ

ホームズはさらなる調査で、ニューヨークの現役ヤクザと被害者の元ヤクザがトラブっていた事を突き止める。違法賭博で元ヤクザが大勝ち、賭博に負けた現役ヤクザから執拗に金を取り立てて、現役ヤクザの怒りを買っていたのだ。
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↑現役ヤクザを演じるのは『プレデターズ』でプレデターと戦うヤクザを演じたルイ・オザワ。

元ヤクザは優秀なSEだった

現役ヤクザは元ヤクザを殺害するために尾行したが失敗。元ヤクザは謎の施設に通っていたとのこと。現役ヤクザが真犯人ではないと確信したホームズはその施設を調べると…施設の持主であるアメリカ空軍に襲撃された!元ヤクザは天才的なシステムエンジニアでアメリカ空軍の顧問だったのだ(ヤクザ時代もIT技術で総会屋をやっていた)。そしてアメリカの核ミサイルシステムのアップグレード開発を担当していたのだ。
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↑まあ日本だって原発産業にヤクザがいるし

第二の容疑者は空軍大将

元ヤクザは総会屋時代の癖で核ミサイルシステムのデータを盗んで義指に入れていた。義指が見つかるまでは核ミサイルシステムの開発は停止となった。ホームズとワトソンは
「真犯人の動機は開発停止だ!」
と気づく。開発停止で利益を得る人物が真犯人だ。
新たな容疑者が浮上した。核ミサイルシステムの開発に反対していた空軍の大将だ。核ミサイルシステムは70年代の遺物をそのまま使っており、ハッキング不可能。空軍大将は数億ドル必要な上にセキュリティリスクがある新規開発は必要ないと訴えていた。
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↑パソコンを使わない人をサイバーセキュリティ大臣にする日本と同じ防衛戦略?

完璧なアリバイ

ホームズの聴取を受けたアメリカ空軍の大将は
「絶対に公にできない情報だが、元ヤクザが殺害された時間に私は赤ちゃんプレイをしていた
と鉄板のアリバイを披露する。犯人ではなかった大将は別の可能性を指摘する。アメリカ空軍に70年代のPCやフロッピーディスクを納入する中古業者だ。空軍のシステム開発が進めば、全ての中古品が廃棄処分となり大損する。
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↑空軍大将の鉄壁のアリバイ。

殺人の動機は8インチのフロッピーディスク

だが中古業者も真犯人から襲撃を受けていた。襲撃の動機は中古業者が持っていた中古の8インチのフロッピーディスクらしい。アメリカ空軍に郵送されるはずだった1000枚のフロッピーディスクだ。
ホームズは70年代のPCを使って8インチのフロッピーディスクの内容を復元、その中にアメリカ造幣局のデータが含まれていることを突き止める。造幣局の大事なフロッピーディスクが中古市場に流れていたのだ。これがあればホンモノのニセ札が作ることもできる。莫大な金を生むデータだ。
そういえば去年、日本でも同じ事件が起きていましたね。何十年経っても事件は変わらない。
2019年神奈川県HDD転売・情報流出事件 - Wikipedia


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↑70年代PCを駆使して、フロッピーディスクを復元するシーン

真犯人を炙り出せ、じゃなくて匂い出せ

真犯人は空軍将校の誰かなのは間違いない。1000枚のフロッピーディスクを空軍基地に郵送させるためには、核ミサイルシステム開発を止める必要がある。そのために元ヤクザを殺して義指を奪ったのだ。数人いる将校のうち誰が真犯人か?ホームズは元ヤクザの殺害現場の状況(ニンニクの匂いだらけだった)から、犯人に嗅覚が無かったのでは?と推理する。そこで空軍の将校を集めて目の前でドリアンを食べ、嗅覚が無い将校を発見する。でもそれだけでは有罪には出来ずホームズたちの負けとなる…。
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↑エイダン・クイン、ルーシー・リューといった名優たちが鼻を押さえているのが面白い。

意外な結末。

一方で真犯人の将校も空軍内の出世は絶望的になった。真犯人は元ヤクザを殺したがっていた現役ヤクザに義指を500万ドルで売りつけることにした。ところが現役ヤクザは真犯人を裏切って真犯人と証拠の義指を警察に引き渡し逮捕させる。証拠があるから有罪にも出来る。
現役ヤクザは元ヤクザを殺したがっていたのになぜ?実は殺された元ヤクザのためだった。
「ヤクザは誰にも殺せない。ヤクザを殺せるのはヤクザだけ。」
この名誉を守れなかった元ヤクザの仇を取るために、真犯人を捕まえたのだった。完。
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↑ドラマのラストシーン。

感想

日本文化をきちんと調べているし、ヤクザの資金源もハッキリと描いている。小指を探し求める展開というのは、日本人には描けない発想だ。1997年の日本映画『ポストマン・ブルース』がヤクザの切断された指を郵便局員が届けるという物語だったけど。