破壊屋ブログ

ネタ系映画ブログです。管理人はこの人→http://hakaiya.com/giccho

死亡フラグのお話

俺のこのツイート↓がバズりました。配役だけで誰が死んで誰が犯人なのかわかる「配役デスノート」「死兆星キャスティング」とか名付けたい現象ですね。

でも「深刻な問題」と書きましたがこれは取り消したい。死亡フラグや配役から展開を予測するのも映画を観る楽しみです。


死亡フラグが立ちまくる男

映画『ホットショット』より、出撃前に死亡フラグが立ちまくる夫婦。超好きなギャグです。

黒猫がよぎる

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マイホームを購入する

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子どもたちが待っている

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鏡が割れる

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家に帰ったら重要なサインすると約束する

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地球を救う方法を思いつく

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ついでにケネディ暗殺も

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大事なものを渡さずにポケットに入れたままにする

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お前はすでに死んでいる…と言いたくなるほど死亡フラグ立ちまくり。


案の定、夫は派手に事故死。主人公であるチャーリー・シーンが
「奥さん、見ちゃダメだ!」
と彼女を後ろ向きにするけど、後ろが鏡だったので夫の墜落をバッチリ目撃する。
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最初に死ぬキャラの法則

↑のツイートはリプライや引用RTなんかに
「あの映画で有名な○○が最初に死んだのは驚いた!」
的な意見がめっちゃ多くついています。

でもそれは一番最初に死ぬのは一番ギャラが高い人という全世界共通の法則なんです。最近の例だとテレビ朝日版の『そして誰もいなくなった』で向井理が、ケネス・ブラナー版の『オリエント急行殺人事件』ではジョニー・デップが最初に死亡退場します。ちなみに両方共アガサ・クリスティ原作です。

というわけで今回は死亡フラグ(海外では「クリシェ」と言う)の話。ネタがネタだけにネタバレ多数です。

定番死亡フラグ

有名な死亡フラグは
「結婚の予定を自分から喋り始めたキャラクターは死ぬ」
「イチャついているカップルは死ぬ」

ですね。マニアックな死亡フラグだと
「靴紐を結ぶシーンがあるキャラクターは死ぬ」
とかあります。逆死亡フラグでは
「処女・童貞は生き残る」
がありますね。ホラー映画ではこのフラグを逆手に取って
「どう見ても童貞のアイツが死んだ!なんと実は童貞じゃなかった!」
という展開もあったりします。死亡フラグの法則をきちんと守りながら「あいつ童貞じゃなかったのか」と観客を驚かせる見事な手腕です。

ジュラシック・ワールドの例

アメリカ映画は日本映画よりも死亡フラグを強く主張してきます。例えばジュラシック・ワールド・シリーズでは
「イギリス英語を話す人は死ぬ」
という死亡フラグがあります。劇中でイギリス英語を喋って結婚の予定があるという死亡フラグが複数たつ女性ザラは、そりゃもう無残な死に方をする。

もちろん俺にはイギリス英語とアメリカ英語の違いなんてわかりませんが、現在公開中の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』でもイギリス英語ネタはちゃんとセリフ・字幕で説明されて、死亡フラグの上げ下げが観客にわかるようになっています。*1

人種による死亡フラグ

他にもアメリカ映画だと、死亡フラグには人種が絡んできます。黒人やメキシコ人たちのサブキャラクターが死んでいって、最後に白人たちが生き残ってハッピーエンドというのが娯楽映画の王道です。昔のジュラシック・パークシリーズなんかがその例ですね。
ちなみに最新作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』はマイノリティが生き残る一方で動物愛護精神が無い人たちがバンバン死んでいく展開です(恐竜が思想を選んで人を殺すわけじゃないのに!)。人種差別を乗り越えた結果、思想差別が生まれた感があって興味深いです。

死亡フラグを逆手に取った映画

俺のツイートへのリプライで
「ディープ・ブルーでサミュエル・L・ジャクソンが死ぬのが驚いた!」
というのが多かったですが、『ディープ・ブルー』のサミュエル・L・ジャクソン死亡ネタは、公開当時の宣伝ネタだったんです。『ディープ・ブルー』で本当に驚かされたのはサミュエル・L・ジャクソンではなくて死亡フラグを逆手に取った展開です。ホラー映画は途中で黒人が殺されて最後に白人ヒロインが勝利する。というのが定番ですが、『ディープ・ブルー』は死亡フラグが立っている黒人男性のLL・クール・Jが何度もピンチになっても死なないで結局生存。逆に白人ヒロインがいきなり死にます。
ちなみに『ディープ・ブルー』のレニー・ハーリン監督とLL・クール・Jは映画『マインドハンター』でも人種の法則を逆手に取ります。連続殺人鬼モノの真犯人は白人男性という法則を逆手に取って、黒人男性のLL・クール・Jと白人女性が生き残ってどっちかが犯人という展開。「真犯人は白人男性」という法則を知っていると逆に混乱するという仕掛けです。

日本映画の場合

日本映画はアメリカ映画よりは死亡フラグの主張が弱いですが、配役で何となく予想がついてしまう。また誰が生き残るのか何となくわかる逆死亡フラグも日本映画によくある現象です。今は収束気味ですが、アイドルたちが大量出演するサバイバルホラーが何本も作られていました。それらの作品はくだらなくも微妙に面白くて、誰かが死んで退場という緊張感が見どころ。ところがアイドルに疎い俺でも
「どっちが生き残るか全く読めないすげえ展開だ!あ、でもこっちが推されているっぽいから、こっちが生き残るんじゃないかな?」
と予想ついてしまう。去年の誰映画でも書きましたが、全員生き残るホラー邦画が増えているのも、映画はアイドル俳優たちのプロモという側面が影響しているんじゃないかなと思ってます。

ただ読めるから悪い!というわけじゃなくて、そういうのも映画を観る楽しみです。



オマケ:日本映画の死亡フラグ ベスト3

最後に日本映画の配役からわかる死亡フラグベスト3を紹介します。

1位:新垣結衣の結婚相手

新垣結衣との婚約はデスノートに名前も書かれたも同然の死亡フラグです。『恋空』『トワイライト』みたいに結婚相手が死ぬことをウリにしている映画や、『麒麟の翼』『BALLAD 名もなき恋のうた』みたいに結婚相手にあからさまに死亡フラグが立っている映画ならまあわかるんですがね。新垣結衣が学校の音楽教師を演じて合唱チームを率いる青春映画『くちびるに歌を』みたいに死亡要素が全くない映画でも新垣結衣の結婚相手は死にます。新垣結衣の出演作を追っていると、まるで保険金目当ての夫殺人に見えてくる。

2位:主人公が20代~30代の映画のご両親役のどちらか

主人公は20代~30代で自身に悩みを抱えていて、親のことをちゃんと考えていない。親を演じるのは知名度の低い演技派の俳優。これはもう死亡フラグです。中盤で実家から親が亡くなったと連絡が来るのがお約束。
この展開の日本映画があまりにも多すぎるため、この死亡フラグを逆手に取った映画も存在します。『WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常』は明らかに死亡展開の親に結局何も起きないで健康!というギャグがあります。ベテラン監督の作品はこういうところがお見事。

3位:大沢たかお

大沢たかおはフラグじゃねーよ!というツッコミするなかれ。2000年代の大沢たかおは映画の中でとにかく死にまくりました。一流男性芸能人たちって死ぬイメージが無い人が多いのに(キムタクとか福山雅治とか)、大沢たかおはどことなく死のイメージがある。だから2000年代のお涙頂戴日本映画ブームの中で重宝されたのでしょう。俺も友達に
「この映画ってどういう映画なの?」
って聞かれたら
「大沢たかおが死ぬ映画だよ」
「なるほど!」
という会話が成立しました。

*1:発音ではわからないけどファッションで何となくわかる

日本映画の夏祭り展開でサイコーなやつ

日本映画(+アニメ)は夏祭り展開がメッチャ多いんだけど、俺のお気に入りは『HOME 愛しの座敷わらし』。以下ネタバレ。

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主人公(左端)は小学生の少年。東京から田舎に引っ越して友達がいないので、サッカーに混ぜてもらおうとするが実は彼らは強豪校。サッカー少年のリーダー:カッちゃんに説教される。

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主人公はサッカーを全くやったことないため何もできない。そんなダメダメな主人公に、何だかんだでリーダー:カッちゃんは気を使って仲良くしてくれる。顔も中身もイケメン!

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主人公はサッカー仲間と仲良くなって夏祭りに行く。そこで主人公が見たものは!

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イケメンリーダー、実は女子だった。今まで知らなかった主人公は驚愕し、惚れてしまう。オス堕ち!



このシーンは何かドキドキするので凄く好き。

イケメン女子を演じた沢木ルカは他の映画でも男子役で出ていたりする。残念ながら引退してしまった。

ここ10年で一番面白い日本映画『カメラを止めるな!』

現在公開中の『カメラを止めるな!』という低予算映画があるんだけど、ここ10年で一番面白い日本映画だ(当たり前だけど俺個人の基準でね)。


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一般上映で観たんだけど、上映終了後には拍手も起きていた。
ものすごく面倒臭い性格の映画監督が、映画を作ろうとする。だけどロケで選んだ場所は旧日本軍の...。この映画に関する情報はそれ以外シャットアウトして、予告編も公式サイトもネット記事も読まずに映画館に行って欲しい。実際に俺はそうしたので、おかげで映画館で凄まじい衝撃を味わった。

ちょっと話変わって、数年前からTSUTAYAが新作X枚1000円キャンペーンをやっているので利用しまくっている。その結果、俺は映画館に行く本数が減った一方で、新作映画を観る量は二倍以上になり新作映画だけで年間200本近く観ている。そのうちの3割くらいは低予算の日本映画で、微妙な出来や駄作が多い(名作もあるよ!)。単に俺が映画が好きだから観ているだけであって、そこに感動は無い。

話を戻して『カメラを止めるな!』だけど、実は『カメラを止めるな!』自体にはそんなに感動していない。伏線マニアなので大量の伏線で構成された展開にシビれまくっただけだ。でも『カメラを止めるな!』の後半を観ていたら
「俺が今まで観てきたあの駄作映画たちも『カメラを止めるな!』みたいに、みんなで頑張って作った結果なんだよなぁ」
と思って何か感動してきた。傑作『カメラを止めるな!』の内容からじゃなくて、今までの駄作映画から感動が押し寄せてきた。

マニア受けを狙った映画じゃないし、ネタバレを避けるために内容を明らかにしていないだけで、凄くわかりやすい映画です(三谷幸喜がやりそうなネタでもある)。低予算映画だけど多くの人にオススメできます。

サタデー・ナイト・ライブの傑作動画

最近、サタデー・ナイト・ライブの動画を見るのにハマっている。英語わからなくても面白い。以下は俺のオススメ動画。

『スター・ウォーズ』のCM、大きなお友だち含む編。
www.youtube.com


母親のオナニー中に子どもたちが乱入。母親のオカズは『フィフティ・シェイズ』。電マで遊ぶ子どものシーンは日本でやったら絶対炎上だね。
www.youtube.com


ハーマイオニーがエロく成長してドキドキする男連中。
https://www.youtube.com/watch?v=uwfdFCP3KYM


トランプ支持者たちの感動的なCM!政治的に正しい形で政治的に間違っているギャグをカマすという現代に相応しい傑作ギャグ。
www.youtube.com


ブラック・ウィドウの単独映画の予告編。
https://www.youtube.com/watch?v=j_5KgpN38hM


ワイルド・スピードなバンビ。
https://www.youtube.com/watch?v=uFJz2IMUeDE


10歳以下の少女に子宮頸がんワクチンを打ちまくる
www.youtube.com


ディズニーキャラクターとの触れ合いコーナー。『美女と野獣』のガストンは大人気。ところがジョン・スミス(ポカホンタスの恋人、不人気な上に政治的にも問題あり)が出てくると…。
https://www.youtube.com/watch?v=-DBIkOVYqes


嫌な男上司のモノマネで盛り上がる人たち。でもとある男性が嫌な男上司と性的関係だった。性行為のモノマネでドン引き。
https://www.youtube.com/watch?v=Gx-dJnKIa9U


アナルにダース・ベイダー
https://www.youtube.com/watch?v=9dgUck8K_H4


ヒラリー・クリントンのモノマネ芸人、御本人+(オマケの夫)が登場。
https://www.youtube.com/watch?v=6Jh2n5ki0KE


毒蛇に噛まれた男たちがお互いの体を吸い合う、それに混ざりたい女性
https://www.youtube.com/watch?v=wHxEOgTFc_0


女たちのハロウィーン。『独身OLのすべて』みたい。
https://www.youtube.com/watch?v=TVueoznrt9Y


銃のCM。
https://www.youtube.com/watch?v=SwEyBItsXkw


空港セキュリティ。難癖つけて女性客を脱がして行く。
https://www.youtube.com/watch?v=_6Y52JHN-LA


また空港セキュリティ。時代が変わって男女逆転。
https://www.youtube.com/watch?v=WA_RamRRS5o


絵描きクイズ。第一問は『ゴーン・ガール』、第二問が…
https://www.youtube.com/watch?v=X_kuC35F06E&t=176s


貞子と同居するコメディ。
https://www.youtube.com/watch?v=6qIdMrwimwE

反日認定と『焼肉ドラゴン』

『万引き家族』が公開されたので
「この映画は万引きを肯定している!」
と勘違いしていた人たちも、色々と間違いに気づくだろう…。と思っていたけどそんなことは無かった。今だにネット上では「万引き肯定映画だ!」と騒いでいる連中がいる。
「映画観ろよ!」
とまでは言わないが、せめてネタバレサイトくらい読んでから議論に参加してくれ。

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そんな『万引き家族』以上に酷いバッシングを受けている映画がある。今週公開された『焼肉ドラゴン』だ。



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大泉洋演じるニートの在日韓国人が自分の学歴を鼻にかけるので
「キムチはキムチ!」
とブチ切れる井上真央ちゃん。このシーンは動画でも見れます。『焼肉ドラゴン』はこんな感じのドギツい人情コメディ映画です。特に井上真央の演技は最高!


ネット上では『焼肉ドラゴン』が反日認定されて、右寄りからバッシングを受けている。こんなツイートが大量リツイートされているのだ。

注:ツイート内には中盤のネタバレがあるので、真剣に読まなくていいです!





もちろんリプライ欄にはヘイトが満載。リプライ欄を読んでいると次に大震災が起きたときにデマを信じた日本人が在日外国人に危害を加える様子が目に浮かんでくるよ。

反日認定

「反日認定」はネトウヨが使うジャッジメントで、俺も「破壊屋は反日!」ということで2ちゃんとかでフルボッコにされた経験がある。ネトウヨから反日認定というのは光栄だと感じるけどね。しかし『焼肉ドラゴン』を反日認定するのはおかしいぞ!

リンク先は『焼肉ドラゴン』の主人公の一人、龍吉の部分だけを抜き出したネタバレだ。

序盤のネタバレ

中盤のネタバレ

後半のネタバレ

ラストのネタバレ

これのどこが反日なの?韓国史上最大のタブーとも言われている済州島の虐殺事件を扱っているんだぞ?しかも日本の助成金で。むしろ右寄りの人たちが大喜びして映画館に駆けつけるべきだろ。『焼肉ドラゴン』はどんな政治思想の人でも楽しめる作品なんだよ。

でもネトウヨたちの言う「日本人が在日を虐めるシーンがあるから反日映画!」というのは、俺も心底賛成するぜ。真に美しい日本人なら在日虐めなんてしないはずだからな。在日虐めで反日認定なら良いことだ。

おまけ:ネトウヨにお薦めする鄭義信の映画

『焼肉ドラゴン』は俺が大好きな脚本家:鄭義信の初監督作品だ。鄭義信の脚本作品はネトウヨにこそオススメしたい。鄭義信は在日社会をハードに描く作風なので、右でも左でも極端な政治思想の持ち主のほうがむしろ楽しめるはず。

月はどっちに出ている

月はどっちに出ている
俺のオールタイム邦画ベストにも入る大傑作。在日朝鮮人は慰安婦問題とか全然気にしてません!という激ヤバなコメディシーンがある。公開当時、慰安婦問題で盛り上がっていたこともあり、このシーンはかなり注目された。

血と骨

血と骨 通常版 [DVD]
戦前から戦後にかけて在日朝鮮人社会を描く。ビートたけし演じる主人公は同胞の在日朝鮮人たちから金を巻き上げていく。

信さん

信さん・炭坑町のセレナーデ [DVD]
これは以前、破壊屋でも取り上げた。炭鉱労働者たちは誰も朝鮮人差別をしていないんだけど、朝鮮人労働者のリーさんがみんなを裏切ってスト破りをする。日本人労働者が「リーさん、何でや!」と絶叫するシーンはかなり辛い。


いずれも日本人には絶対に描けないシーンばかりだ…。

万引き家族より酷い映画

貧困だからといって犯罪していいわけじゃない!

『万引き家族』に関する評論で↑こんなのが溢れかえっている。もちろん観ていない人たちの妄想評論だ。映画本編を観ればわかるけど、『万引き家族』は万引きを美化も正当化もしていない。でも彼らの妄想評論通りな映画は実在する。日本って治安が良いな…と思わせる作品の数々だ。

アメリカ『ジーサンズ はじめての強盗』

ジーサンズ はじめての強盗(字幕版)
年金が少ないから老人たちが強盗するという日本でやったら老害批判が爆発するであろう映画。一応
「勤め先が積み立てていた年金を買収によって銀行に奪われた。だから強盗で銀行から取り返す。」
という設定なので筋はちゃんと成立しているけど、そんなこと言ったら旧:社会保険庁が年金食い荒らしまくった日本ではクーデターでも物足りないぜ。
元々アメリカでは銀行強盗が庶民の英雄になる現象があった。南北戦争当時のジェシー・ジェームズや、大恐慌時代のジョン・デリンジャー、ボニー&クライドとかね。だから今でも銀行強盗が主役の映画が多い。

イギリス『天使の分け前』

天使の分け前(字幕版)
左翼監督の代表的存在であるケン・ローチの作品。ケン・ローチは日本の高松宮殿下記念世界文化賞から賞金貰ったときに、スポンサーのフジサンケイグループに反発して国鉄労働組合に賞金を寄付したこともある。もし『万引き家族』が助成金の返金で似たようなことやったら大炎上だな。
『天使の分け前』は日本では
「更生中の不良がウイスキーのテイスティングを学ぶ映画」
として宣伝されていたけど、実際は
「更生中の不良がやっぱり更生せずにウイスキーを盗む映画」
という酷い映画だった。貧困層の犯罪者が更生するにはお金が必要で、そのお金を犯罪で得ても、まーしょーがない、それが「天使の分け前*1」でしょ。というケン・ローチの左翼的優しさが溢れる作品。ケン・ローチを尊敬している俺でも、さすがにこの作品は批判しました。

中国(香港)『奪命金』

奪命金 ≪特別版≫【Blu-ray】(2枚組:BD+DVD)
これは以前庶民視点がおもしろい! 老舗映画サイト「破壊屋」の人が厳選したハズさない「金融映画」4本 - マネ会で紹介したので、そっち参照してください。貧困じゃなくて一般庶民の話なんだけど、ラストシーンの庶民のとある行動は善悪の判断が別れるところ。俺も
「え?これは犯罪でしょ?」
と思った。
HKmoviefan☂ (@HKmoviefan) | Twitterさんに教わったけど、中国ではラストシーンに「この行為で逮捕された」という追加ナレーションが入るらしい。あのラストシーンは香港的にはOKでも、中国共産党的にはNGなのだろう。

フランス・ベルギー『ある子供』

ある子供 [DVD]
生活保護を受けながら窃盗を繰り返す若いカップルを描いた映画。主人公が14歳の少年に窃盗を手伝わせるシーンもあり『万引き家族』に一番近い映画。『万引き家族』と同様にパルム・ドールを受賞している。でも映画的な技巧をわざと排除した作風なのであまりオススメできない。犯罪をまったく美化しておらず、むしろ窃盗シーンがホラー映画みたいに怖い。

南アフリカ『ツォツィ』

ツォツィ スペシャル・プライス [DVD]
2006年のアカデミー外国語映画賞の受賞作。極悪不良少年が、うっかり赤ちゃんを誘拐。その過程で人間性を学んでいく。これも犯罪を美化していないけど、アフリカ映画は極悪不良少年(たいていは少年兵)が極悪な行為をしたあとに、観客に
「この少年犯罪をどうするか?」
という問いかけしてくるので、ついていけないことがある。

ブラジル『シティ・オブ・ゴッド』

シティ・オブ・ゴッド(字幕版)
貧困だから犯罪に走る。という映画は腐るほどあるので代表的な作品を。ストリート・チルドレンを描いた傑作。面白半分で子どもを銃で射抜くシーンはトラウマもの。


『万引き家族』の劇中で描かれているのは「犯罪行為で家族の絆が生まれる」様子であり、犯罪を美化も正当化もしていない。むしろ「犯罪=悪い」という実に当たり前のことが描かれている。是枝監督が『万引き家族』で暴きたかったのは、日本人の貧困層への無理解だ。まさかタイトルだけで暴かれることになるとは思わなかっただろうけど。

*1:ウイスキーがちょっと減る現象

見出しだけで善悪を判断する人たちと『万引き家族』

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「見出しだけで善悪を判断する」人が多い。まとめサイトやブログのエントリはもちろん、週刊誌や新聞記事だって見出しで人を釣る。だから釣られる人がたくさん出る。ある程度はしょうがないし、俺も釣られることがある問題だから気をつけている。

万引き家族に釣られる人々

見出しで釣る記事やエントリでも、本文にはたいてい詳細が書いてある。でも記事に対して辛辣なコメントしている人たちに限って記事をちゃんと読んでいない。今、そんな問題が映画のタイトルで起きている。『万引き家族』だ。タイトルから万引きで繋がる家族という印象を受けた人が大量に発生したのだ。実際にそう宣伝しているしそういう展開もあるけど、映画本編はもっと複雑で深刻だ。詳細を説明するとネタバレになってしまうのが、『万引き家族』に対する勘違い問題に拍車をかけている。

万引き家族への批判意見

例えばあるアカウントは『万引き家族』を
「万引き家族の絆なんて貧困の再生産」
と批判していた。ツイート主は映画を未見だと思う。映画本編では万引き家族の子供たちが教育を何も受けていない現状をちゃんと描いている。その批判ツイートは的外れだ(批判目的じゃなければ当たっているけど!)。でも『万引き家族』に関するツイートで二番目に多く大量リツイートされている*1

まるで赤狩り

他にも右寄りの人たちが「万引き家族なんて日本の恥!」と批判しているツイートがたくさんある。『万引き家族』に関するツイートで一番リツイート数が多いのはこれだ。

自分の国の問題点と向きあうと恥って何だよ!貧困と犯罪なんてあらゆる映画がテーマにしていることなのに!
「韓国の貧困問題を描いた映画、韓国国内でバッシング」
って見出しの記事があったら、あなた達はどういう反応するのか。

俺は
「まるで赤狩りじゃん*2!これだから右寄りってダメだなー」
と思っていた。ところが今は逆に左寄りの意見に失望している。

右も左も

誘拐された被害者が誘拐加害者のストーカーと仲良くなる『幸色のワンルーム』の実写化が発表されると、朝日新聞の記者が激怒したのを初めとして「犯罪を正当化するな!」と怒りだす人が出てきた(俺も明日ママで怒ったことあるけど)。

togetter.com
togetter.com

当然ながら彼らは
「じゃあ『万引き家族』はどうなるんだよ」
と反論されているわけだけど、それに対するツッコミで
「万引きと誘拐は違う」
というのがいくつかあった。でもこれも的外れなんだよね。

俺は『幸色のワンルーム』の漫画読んでいるけどあまり好きじゃないし、社会問題をえぐる『万引き家族』と、誘拐ラブストーリーの『幸色のワンルーム』は次元の違う作品だと思っている。でもこの2つは共通要素があるし、同じようなシーンが複数ある。


ここから『万引き家族』の軽めなネタバレです。予告編でもバレているけど。


『万引き家族』は映画が始まると、リリー・フランキー演じる主人公が虐待されている女児を誘拐することで救う。その女児は万引きを仕込まれることによって自分の家族を手に入れて幸せになっていく。自分の家族の元に帰ろうとしない。朝日新聞の記者は『幸色のワンルーム』の放映に対して
「女児を狙った犯罪は絶対悪だ」
と書いている。その主張は同意できるけど、今週の朝日新聞の映画欄には
「映画『万引き家族』も絶対悪」
とでも載るのだろうか。

『万引き家族』は万引きだけじゃなくてJKビジネスや不正受給を描いた映画だ。そもそも是枝監督が映画のモデルにしたのは、2010年の不正受給事件。それ以外にも万引きどころじゃない犯罪がゾロゾロ出てくる。『万引き家族』というタイトルに釣られた人が語る印象と実際の映画にはかなり差がある。

ちなみにJKビジネスのシーンなんて、売り手の少女も客の男性も癒やされるシーンとして描かれている。映画が公開されたら
「この映画はJKビジネスを正当化している!」
という批判意見が出るのかな?

釣りタイトル

『万引き家族』はそのわかりやすいタイトルのおかげで、多くの人が観てないのに議論が活発になっている。『バス男』とか『アルマゲドン2000』とか釣りタイトルの映画はたくさんあるけど、『万引き家族』こそが史上最高の釣りタイトルなのかもしれない。タイトルと内容が一致した映画を観たい方には幸福の科学の『仏陀再誕』がオススメです。
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襲撃するUFO!蘇る仏陀!一切釣ってないぞ!




追伸:本当だったらいつもここで
「未見の映画を叩きたいなら誰映画でやろう」
とオチをつけるんだけど、今年はごめん!まだ出来ていません!(でも作成中です)

*1:ただしツイート主の「万引き被害に苦しむ小売側」という指摘は正しい

*2:政治思想による弾圧、ハリウッド映画に多大なダメージを与えた