破壊屋ブログ

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ターミネーターシリーズの最高傑作がT3なのは何故か?

日本記念日協会によって5/25が「ターミネーターの日」になったので、ターミネーターシリーズの最高傑作について語ろう。
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最近話題になった新連載マンガ『木根さんの1人でキネマ』というのがある。その第一話は、ヒロインが『ターミネーター3』を褒めるとネット上で「『ターミネーター2』を観て下さい」というレスがついて、ヒロインが悔しさで悶絶するというエピソードだ。

(画像のリンク先で最新話が読めます)

このヒロインの気持ちはよくわかる。知識を披露したいだけの人に補足コメントを書かかれると何故かくやしくなってしまう。自分も他人に対しては同じコトをしょっちゅうやってるクセに。ブロガーなら誰しも経験あることだろう。
「それわかっているから!わかっててあえて言及していないんだから!」
って反論するとカッコ悪いのでたいていは泣き寝入りだ。

そしてそれ以上にわかるのは『ターミネーター3』が大好き!という気持ちである。俺もターミネーター・シリーズの最高傑作は『T3』だ!という誤った感性の持ち主だ。『T3』を褒めると『T2』ファンがメッチャ食いついてくるんだけど、それでも『T3』好きとして言い訳がしたい。

その前に『ターミネーター』を観たことが無い人に、このシリーズの設定とネタバレを簡単に説明する。

基本設定

未来の地球で人工知能スカイネットが反乱(審判の日)を起こし、人類は絶滅の危機になる。しかし英雄ジョン・コナーの活躍によって人類は救われる

ターミネーター1(T1)の設定

スカイネットは英雄ジョン・コナーの出生を無かったことにするために、タイムマシンを使って1984年にターミネーターを送り込んで、ジョン・コナーの母親を殺害しようとするが失敗する。
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ターミネーター2(T2)の設定

スカイネットは1994年にターミネーターを送り込んでジョン・コナーを暗殺しようとする。だがジョン・コナーたちの反撃によって、逆にスカイネットの誕生を食い止めた。そして「審判の日」は回避された
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それではT3が傑作な理由を説明します。

『T3』が傑作の理由1:ジョン・コナーがヘタレ

1984年に『ターミネーター』が登場してからの20年間、我々人類は「ジョン・コナーが英雄」という基本設定を信じて生きてきた。そしてコレが『T3』のオープニングなんだけど。

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崩壊した近未来で人類のリーダーとなって戦うジョン・コナー!

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単なる妄想だった。

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まあ世の中そんなもんですよね。

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肉体労働で日銭を稼ぐジョン・コナーだが、このあとケガをする。でも病院に行けないので動物病院に行ったところ獣医のおねーちゃんに捕まる

『T3』ではジョン・コナーがヘタレになっている。この設定の改変はアメリカでは酷評されたらしいが、俺の胸には突き刺さった。俺もガキのときは「未来の人類の英雄」というジョン・コナーの設定をカッコいいと思ったけど、大人になった今では「実はダメ人間に育ったジョン・コナー」に完全感情移入している。

『T3』のオープニングはジョン・コナーがひたすらグチった挙句に交通事故を起こす。『T2』の名エンディング「未来は先の見えないハイウェイだ!」とか言っておいて、ハイウェイの先がコレだったのだ。

ジョン・コナーがヘタレになってしまうと「でもコイツは人類のリーダーになれるハズでしょ?」という疑問が生まれてくる。『T3』で断片的に描かれる情報から判断するに、未来社会で凄かったのはジョン・コナーの奥さんっぽい。納得!ちなみに獣医が奥さんになるの。



『T3』が傑作の理由2:ラストが感動的

『T3』のラストは、人類が自分たちの核兵器によって滅亡。核シェルター内に逃げたジョン・コナーが、わずかに生き残った人々に「ボクはジョン・コナーです」と声をかけて終わる。何も出来ないジョン・コナーが「人類の英雄」への一歩を踏み出す感動的なシーンだ。
このラストシーンは2001年のNY同時多発テロが明らかに関係している。悲劇は避けられないけど、生き残った者は辛くても立ち上がらなければならない。そして生き残った者同士で声を掛け合っていく。当時のアメリカ人たちの心情を表現していて泣ける。

『T3』が傑作の理由3:ドラえもんっぽい

未来からやってきた中古ロボット、ダメ人間の主人公と将来の奥さん。とくれば連想するのは『ドラえもん』だ。『STAND BY ME ドラえもん』にノスタルジーを感じなかった俺だけど、『T3』には何故かドラえもん的ノスタルジーを感じてしまう。
ジョン・コナーはロボット(ターミネーター)に精神的に依存していたんだけど、ラストでロボット無しでも生きていく決意をするところも『さようなら、ドラえもん』っぽい。
ここでターミネーターはロボットじゃなくてアンドロイド/サイボーグだよ!」とツッコミ入れる人はまだまだターミネーター中級者。『T3』ではジョン・コナーはターミネーターのことを「ロボット」と呼んでいる。


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大人になってもロクな格好していないので未来の奥さんに説教されるジョン・コナー。そこでターミネーターが「彼は人類のリーダーだ」とフォローしてくれるシーン。泣ける。

『T3』が傑作の理由4:ターミネーターっぽい演出がいっぱいある

『T3』は『T1』『T2』を徹底研究して作ってある。細かいセリフ、細かい演出が全て前二作と同じなのだ。例えば「バイクに乗る」「車を奪う」といったシーンは全てセルフパロディになっている。『T1』と『T2』を公式に真似した結果、すごくターミネーターな映画になったのだ。『T1』の頃にあったB級映画感が出ているのも良い。

『T3』が傑作の理由5:矛盾に対して説明がついている

ターミネーターシリーズには有名な矛盾が存在する。それは
ターミネーターのコンピューターチップを壊して審判の日を無かったことにできるなら、そもそもターミネーターも存在しないだろ!
というもの。『T3』ではこの矛盾に対して
「審判の日は絶対に回避できない」
という説明をつけている。そうすると今度は逆に
「何で回避できないの?『T2』でみんな頑張っていたじゃん」
という疑問が出てくるけど、そこには
スカイネットはシステムじゃなくてネット上のソフトウェアなので壊しようが無い
という説明がつく。これは20年前だったらほとんどの人が理解できない概念だった。時代の変遷によって矛盾が解決されたのだ。


他にもT3が傑作の理由は色々ある。T-Xがカワイイとか、上映時間が短いとか、全裸のアーノルド・シュワルツェネッガーが服を調達するシーンが超楽しいとか。ファミリー向けの要素を入れた『T2』とは違って『T3』は「ターミネーターとは抹殺者」という基本設定を重要視している点も良い。
俺は『T2』がそんなに好きじゃないので、『T2』を否定している感もある『T3』が余計に好きになってしまうのだ。

というわけで『ターミネーター3』の素晴らしさを分かって頂けただろうか?ちなみにこれがエイリアンシリーズになると俺の態度は真逆になる。コアなファンは『エイリアン4』を最高傑作って評価しているんだけど、俺はその話を聞く度に「えー1と2が至高じゃん」と思ってしまうのだ。

オマケの豆知識

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『T3』でジョン・コナーに車をぶつけられるこの男性は、アーノルド・シュワルツェネッガーボディ・ダブル(影武者)の人。

追記

いや、もう『T2』ファンを色々怒らせてしまった模様で、『T2』ファンには何か凄く申し訳ないです。そして少数派だと思っていた『T3』好きが多いということもわかってとても嬉しい。