破壊屋ブログ

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2018年の映画ベスト100(Twitter投票を集計しました)

Twitter上のハッシュタグ「#2018年映画ベスト10」を集計しました!有効投票数1002名が選んだ2018年最高の映画は『ボヘミアン・ラプソディ』でした!

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

2018年の映画ベストテン

順位 タイトル 得点 投票人数
1 位 ボヘミアン・ラプソディ 2860.5 454
2 位 スリー・ビルボード 2719.5 409
3 位 アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 2141.5 312
4 位 カメラを止めるな! 2042.0 361
5 位 レディ・プレイヤー1 1917.0 322
6 位 グレイテスト・ショーマン 1588.5 251
7 位 シェイプ・オブ・ウォーター 1496.5 260
8 位 君の名前で僕を呼んで 1268.5 204
9 位 万引き家族 1181.0 216
10 位 デッドプール2 896.0 187

1位:ボヘミアン・ラプソディ

BOHEMIAN RHAPSODY THE INSIDE STORY THE OFFICIAL BOOK OF THE FILM ボヘミアン・ラプソディ オフィシャル・ブック
映画興行史の伝説塗り替え中の『ボヘミアン・ラプソディ』が1位となりました。企画がポシャったり、撮影中に監督降板したり、試写会で映画評論家たちから悪評買ったりと色々ありましたが、大逆転勝利です。

2位:スリー・ビルボード

スリー・ビルボード (字幕版)
興行成績が高い映画が有利なTwitter映画ベストで、それほどヒットしなかった『スリー・ビルボード』がまさかの2位!驚きました。
娘を惨殺された母親が三枚の看板(スリー・ビルボード)を立てて怒りを表現する。差別を絶対悪として描くアメリカ映画ですが、本作は差別主義者の警察官に観客が感情移入できるように描いたのが衝撃的でした。

3位:アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー MovieNEX [Blu-ray]
映画史上最高額の製作費5億ドルをつぎ込み、世界中で大ブームを巻き起こしているMCUのクライマックス映画が3位に。アメコミヒーローたちが束になっても敵わない最強の敵サノス。劇中見せるサノスのチート技が衝撃的すぎましたが、映画館から出たら興行収入がコナンに負けていたのも衝撃…。

4位:カメラを止めるな!

カメラを止めるな!
ドマイナーな低予算映画が社会現象になったので「映画興行の奇跡」とまで言われました。どれくらい低予算映画かというと300万円なので『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の2秒分です。個人的にはここ10年で一番面白い日本映画です。

5位:レディ・プレイヤー1

レディ・プレイヤー1(吹替版)
AKIRA』の金田スペシャルと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンがカーチェイスして、メカゴジラガンダムが戦うという人類の夢の映画化です。

6位:グレイテスト・ショーマン

グレイテスト・ショーマン (字幕版)
胡散臭い山師の実話も現代ハリウッドの手にかかればリベラルで多様性のある素敵な映画に変身します。海外では評判イマイチですが、意外とミュージカル好きが多い日本人からは高い支持を受けました。

7位:シェイプ・オブ・ウォーター

シェイプ・オブ・ウォーター (字幕版)
半魚人とのラブストーリーという異色作です。性描写やホラー描写もあり、まさに大人のための童話です。

8位:君の名前で僕を呼んで

君の名前で僕を呼んで(字幕版)
イタリアを舞台にした男性同士のラブストーリーです(アメリカ映画)。ベストテン映画の中では興行収入が少ないマイナー系の映画で、アメリカでは4館でしか公開されていません(その後914館まで拡大、情報ありがとうございます)。しかし日本でもアメリカでも話題になり、続編の噂もあります。

9位:万引き家族

万引き家族 豪華版Blu-ray(特典なし)
21年ぶりに日本映画がパルムドールアカデミー賞の次に栄誉がある映画賞)を受賞して話題となりました。タイトルを巡ってSNS上で議論が巻き起こりましたが、実際は万引きどころじゃない犯罪家族です。

10位:デッドプール2

デッドプール2 (吹替版)
アメコミ映画の異端児というか邪道キャラがベストテンにランクイン。『ヴェノム(25位)』も大成功したし、これからはハーレイ・クインを主演にした『バーズ・オブ・プレイ』や『モービウス』など邪道キャラを主人公にした映画が次々に製作されます。


2018年の映画ベスト、11位から100位まで

順位 タイトル 得点 投票人数
11 位 ブラックパンサー 892.0 168
12 位 ウインド・リバー 861.5 162
13 位 リメンバー・ミー 840.5 156
14 位 ワンダー 君は太陽 829.0 143
15 位 ミッション:インポッシブル/フォールアウト 825.0 149
16 位 バーフバリ 王の凱旋<完全版> 805.0 107
17 位 パディントン2 797.0 130
18 位 ブリグズビー・ベア 773.0 138
19 位 フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 757.5 128
20 位 へレディタリー/継承 757.0 122
21 位 寝ても覚めても 695.0 108
22 位 レディ・バード 672.0 118
23 位 ちはやふる 結び 652.5 104
24 位 若おかみは小学生! 613.0 104
25 位 ヴェノム 566.0 122
26 位 キングスマン:ゴールデン・サークル 557.5 113
27 位 犬ヶ島 549.5 97
28 位 search/サーチ 536.0 113
29 位 ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 492.5 98
30 位 孤狼の血 472.0 85
31 位 ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 471.5 98
32 位 リズと青い鳥 462.5 69
33 位 きみの鳥はうたえる 456.0 74
34 位 アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル 454.5 82
35 位 A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー 453.0 77
36 位 ファントム・スレッド 447.0 79
37 位 タクシー運転手 ~約束は海を越えて~ 438.5 75
38 位 ジュラシック・ワールド/炎の王国 434.0 96
39 位 オーシャンズ8 418.0 82
40 位 ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ 412.0 75
41 位 アントマン&ワスプ 409.0 92
42 位 バッド・ジーニアス 危険な天才たち 393.0 79
43 位 15時17分、パリ行き 391.5 69
44 位 来る 385.5 77
45 位 アンダー・ザ・シルバーレイク 375.5 70
46 位 ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル 344.0 72
47 位 ペンギン・ハイウェイ 312.0 66
48 位 デトロイト 300.5 54
49 位 勝手にふるえてろ 292.5 53
50 位 恋は雨上がりのように 284.0 54
51 位 プーと大人になった僕 278.5 64
52 位 判決、ふたつの希望 276.0 53
53 位 ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー 273.0 55
54 位 シュガー・ラッシュ: オンライン 269.0 59
55 位 ROMA/ローマ 265.5 40
56 位 インクレディブル・ファミリー 244.0 48
57 位 ピーターラビット 231.5 49
58 位 ビューティフル・デイ 231.0 46
59 位 ザ・プレデター 214.5 42
60 位 1987 ある闘いの真実 213.0 37
61 位 聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア 211.0 48
62 位 イコライザー2 210.5 43
63 位 アリー/スター誕生 206.0 44
64 位 RAW〜少女のめざめ〜 204.5 40
65 位 生きてるだけで、愛 195.5 32
66 位 マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー 191.0 38
67 位 愛しのアイリーン 185.0 36
68 位 ドラゴンボール超(スーパー) ブロリー 184.5 35
69 位 オンリー・ザ・ブレイブ 181.5 36
70 位 パッドマン 5億人の女性を救った男 161.0 32
71 位 バトル・オブ・ザ・セクシーズ 157.5 34
72 位 ダンガル きっと、つよくなる 155.0 32
73 位 クワイエットプレイス 151.5 38
74 位 彼の見つめる先に 148.5 25
75 位 ヴァレリアン 千の惑星の救世主 145.0 29
76 位 志乃ちゃんは自分の名前が言えない 139.5 23
77 位 心と体と 138.0 26
78 位 平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER 130.5 25
79 位 ランペイジ 巨獣大乱闘 122.5 28
80 位 ぼくの名前はズッキーニ 121.0 22
80 位 ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 121.0 25
80 位 ミスミソウ 121.0 23
83 位 クレイジー・リッチ! 120.0 24
84 位 しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス 111.5 22
85 位 ニンジャバットマン 108.5 24
85 位 累 ~かさね~ 108.5 23
87 位 ラブレス 107.5 23
88 位 映画HUGっと!プリキュアふたりはプリキュア オールスターズメモリー 105.5 21
89 位 レッド・スパロー 104.5 22
90 位 アナイアレイション -全滅領域- 103.5 22
91 位 マンディ 地獄のロード・ウォリアー 103.0 18
92 位 さよならの朝に約束の花をかざろう 102.0 17
93 位 タリーと私の秘密の時間 101.0 18
94 位 テルマ 98.5 21
95 位 斬、 96.0 19
96 位 四月の永い夢 95.5 14
97 位 30年後の同窓会 95.0 19
98 位 検察側の罪人 94.5 17
99 位 ラッキー 94.0 18
99 位 スカイライン-奪還- 94.0 15


実写邦画ベスト5

ちはやふる-結び- (レンタル版)

  1. カメラを止めるな!
  2. 万引き家族
  3. 寝ても覚めても
  4. ちはやふる 結び
  5. 孤狼の血

2018年は日本映画が充実していて良かったですね。地雷原だったマンガ実写化の状況もだいぶ改善されてきました。

非英語の外国映画ベスト5

バーフバリ2 王の凱旋(字幕版)

  1. バーフバリ 王の凱旋<完全版>
  2. タクシー運転手 ~約束は海を越えて~
  3. バッド・ジーニアス 危険な天才たち
  4. 判決、ふたつの希望
  5. ROMA/ローマ

バーフバリ 王の凱旋<完全版> 【インド】

2017年の年末公開の『バーフバリ 王の凱旋』の完全版が上位にランクイン!『カメラを止めるな!』現象が起きるまでは映画ファンの話題をかっさらっていました。

タクシー運転手 ~約束は海を越えて~ 【韓国】

光州事件という韓国政府による横暴とそれを全く気にしていないソウルのタクシー運転手を描いています。バーフバリが王族の胸熱映画なのに対して『タクシー運転手』は庶民の胸熱映画です。

バッド・ジーニアス 危険な天才たち 【タイ】

タイ映画が上位に入るのは珍しいですね。カンニングを題材にしたサスペンス映画です。

判決、ふたつの希望 【フランス・レバノン

市民の思想の違いが国を巻き込む混乱を起こす。『判決、ふたつの希望』と『タクシー運転手』は現代日本にも通じる話でオススメです。というか世界中のどの国のいつの時代でも起きている話。

ROMA/ローマ 【メキシコ・アメリカ】

2017年の映画ベストだとNetflix映画の最上位は92位だったので、55位だった『ROMA』はさらに順位が上がったことになります。Hulu派の私としては悔しい限り。


100位内の注目作品

ブリグズビー・ベア (字幕版)

18位:ブリグズビー・ベア

幼いころから誘拐されていた青年が教育番組のブリグズビー・ベアを映画化するという、特殊すぎる設定の作品ですがかなりオススメ。ちなみに2018年はなぜかクマちゃん映画が3本も公開されました。

24位:若おかみは小学生!

子供向け邦画アニメがここまで上位に来るのは初めてかもしれません。「子供向け」という言葉を使うのがもったいないほど丹念な心理描写がSNS上で話題になりました。

43位:15時17分、パリ行き

このランキングは本国で評判悪い外国映画でも意外な高順位になる現象がよく起きます。一番特徴的なのはアメリカでボコボコに叩かれた『15時17分、パリ行き』がTOP50に入ったことです。実際の事件を淡々と見つめる視点は確かにアメリカよりも日本人好みっぽいかも。

78位:平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER

仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER メドレー D.A. RE-BUILD MIX
特撮映画がTOP100に入るのは初めてです(たぶん)。おめでとうございます!
(あとでツッコミ入りましたが、シン・ゴジラがありましたね)

奮わなかった映画

MEG ザ・モンスター(吹替版)

劇場版 コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命

集計時点では『ボヘミアン・ラプソディー』を余裕で越えて2018年最高興行収入超ヒット映画が何とTOP200圏外。分析記事いっぱいあったけど未だにこの映画が大ヒットした実感が私にもありません。

名探偵コナン ゼロの執行人

二番目に超ヒットした『名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)』もTOP100圏外。そのうちアニメベストも集計しようと思っているので、そのときにリベンジしてください。

MEG ザ・モンスター

ネット上で盛り上がった巨大サメ映画も132位とイマイチな結果に。まあ観る前はワクワクして観た後にガックリするのがサメ映画ですよ。


集計について

今回の結果に納得いかない人はcoco - 映画レビューサイトの映画賞に投票しましょう。

かつてないデッドヒート

「1位と2位に100点以上差がついたら集計やめよう」と思っていたのですが、全然差がつかなくて「いつになったら集計終わるのだろう」と思いました。500人くらいまでは差がつくどころか1位と2位が逆転を繰り返していました。

集計範囲について

「#2018年映画ベスト10」は1万人くらいが使うハッシュタグなので、今までは「一定期間に投票した人だけを対象とする」だったのですが、今回はちょっと作為があって「期間外でも映画に詳しいTwitterアカウントは対象にする」にしました。映画に詳しい人は『ボヘミアン・ラプソディ』への投票を避ける傾向があったので、作為が無ければ『ボヘミアン・ラプソディ』がもっと圧勝のはずです。

得点調整について

『バーフバリ 二部作』に投票があった場合は半分の得点を『バーフバリ 王の凱旋』につけています。他のシリーズ映画モノも同様の処理をしています。

苦労した集計

Ghost Story / [Blu-ray] [Import]

ゴースト・ストーリー

『ゴースト・ストーリー』という映画が3本も公開されたのが集計時にはかなりネックになりました。

『ゴースト・ストーリー』と『アウトロー』はよくある映画のタイトルです。

チャーチル

あと「チャーチル」って書いた人もいたけど、チャーチルの映画も2018年は二本公開されていまっせ。

ミッション:インポッシブル/フォールアウト

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類似語検索機能使って集計しているので苦労じゃなかったけど、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のタイトルの書き方がみんな自由すぎ。MIFOとか一瞬悩みました。このシリーズは第三作のときにタイトルを『M:i:III』にしたので書き方に色々派生があるんですよね。

銃撃戦映画ベスト10を集計しました。

ハッシュタグ「#銃撃戦映画ベスト10」を集計しました。最高のガンファイトが拝める映画は…。

ヒート 製作20周年記念版(2枚組) [Blu-ray]

銃撃戦映画ベストテン

順位タイトル投票人数
1位ヒート56人
2位リベリオン32人
3位ワイルドバンチ27人
3位男たちの挽歌227人
5位ジョン・ウィック26人
6位ザ・ミッション 非情の掟20人
6位プライベート・ライアン20人
8位ブラックホーク・ダウン19人
9位ジョン・ウィック チャプター216人
10位男たちの挽歌15人
10位ランボー最後の戦場15人
10位シューテム・アップ15人

TOP5の解説

男たちの挽歌II  <日本語吹替収録版> [DVD]

  • まあ集計しなくてもわかっていたことですが『ヒート』の圧勝ですね。当時は公開前から「市街地でとんでもない銃撃戦を撮影した」と話題になっていました。
  • 二位の『リベリオン』は日本のアニメやマンガに多大な影響を与えた作品です。
  • 三位の『ワイルドバンチ』と『男たちの挽歌 2』は映画史を変えたレベルの作品です。『男たちの挽歌』シリーズはTOP30に四本も登場するので、類似語検索機能で集計する私をずいぶんと苦しめてくれました。
  • 五位のジョン・ウィックことキアヌ・リーブス主演作はTOP20に3本(マトリックスが13位)も入ってます。この人はアクション映画への全力投球っぷりと、非アクション映画の手抜きっぷりが極端だよなぁ。

銃撃戦YOUTUBE

上位の映画の銃撃シーンYOUTUBEを貼っておきます。ネタバレもあり。

ヒート

強盗が成功して笑顔のヴァル・キルマーの表情が…

リベリオン

全世界の中学二年生必見!

シューテム・アップ

映画のオープニング。出産手伝いながら射殺!射殺!射殺!へその緒もシュート!BGMのニルヴァーナも最高。

ランボー最後の戦場

ランボー重機関銃のブローニングM2を使うシーンは、ホラー映画並に死体がお肉になっていて話題になりました。

マトリックス

映画見ていない人でもコレだけは知っています。

デスペラード

銃撃戦というか、まあミサイルが出てきます。意外なところから。


最近の映画

ウインド・リバー(字幕版)

  • 2018年公開の『ウインド・リバー』がTOP20にランクイン!映画の銃撃戦って身を隠す場所が多いんですが、この映画は雪原が舞台なので身を隠す場所が全くないところでの銃撃戦なのがメッチャ怖い。
  • 13位の『ボーダーライン(2015)』は最近続編が公開されました。
  • ジョン・ウィック』『ジョン・ウィック チャプター2(2017)』は両方共TOP10入り。
  • 逆に古い映画ですが、銃撃戦映画には撮影技術の向上が必要不可欠なので古い映画は不利なはず。ところが『ワイルドバンチ(1969)』と『ゲッタウェイ(1972)』がTOP20入り。サム・ペキンパー監督すげえぜ。

国別の傾向

ホットファズ -俺たちスーパーポリスメン!-[AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 言うまでもなく銃大国のアメリカ映画が圧勝で、そこに香港ノワールが多数混ざっている感じ。特に香港ノワールジョン・ウー監督とジョニー・トー監督が大活躍。
  • アメリカ映画でも舞台がメキシコという作品が非常に多いです。まあ治安がね…。
  • アメリカと香港以外だと韓国の『泣く男(13位)』、イギリスの『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』、フランスの『スズメバチ(41位)』が健闘です。アメリカ合作ですが『ハードコア(41位)』はロシア製。
  • 治安の良い我が国からも銃撃戦映画はランクイン。銃撃戦をアクションではなくて「死が訪れる時間」として描いている『ソナチネ(21位)』、アニメだからこそ銃撃戦描写がやたらリアルな『攻殻機動隊(34位)』、やたらドラマチックな銃撃戦が展開する『GONIN(34位)』がTOP50入り。『攻殻機動隊』がハリウッドリメイクされたことを考えると3本ともビートたけし関連ですね。日本最強のガンナーはビートたけし

その他

  • 『ヒート』のマイケル・マン監督が『ヒート』を越える銃撃戦を撮ろうとした『マイアミ・バイス』はTOP50圏外でした。まあ映画としては失敗作だよね…。実銃の迫力がすごいけど。

銃撃戦映画TOP50

順位タイトル投票人数
1位ヒート56
2位リベリオン32
3位ワイルドバンチ27
3位男たちの挽歌227
5位ジョン・ウィック26
6位ザ・ミッション 非情の掟20
6位プライベート・ライアン20
8位ブラックホーク・ダウン19
9位ジョン・ウィック チャプター216
10位男たちの挽歌15
10位ランボー最後の戦場15
10位シューテム・アップ15
13位デスペラード14
13位フェイス/オフ14
13位マトリックス14
13位ボーダーライン14
13位泣く男14
18位エグザイル/絆13
18位誘拐犯13
20位ゲッタウェイ12
20位ウインド・リバー12
21位ダイハード11
21位アンタッチャブル11
21位ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!11
21位ソナチネ11
21位コラテラル11
28位ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌10
28位マグニフィセント・セブン10
28位ウォンテッド10
31位男たちの挽歌・最終章9
31位ローンサバイバー9
31位ジャンゴ 繋がれざる者9
34位ブレイキング・ニュース8
34位攻殻機動隊8
34位スカーフェイス8
34位タクシードライバー8
34位エクスペンダブルズ28
34位GONIN8
34位処刑人8
41位ターミネーター27
41位スズメバチ7
41位ガントレット7
41位レザボア・ドッグス7
41位ハートロッカー7
41位LAコンフィデンシャル7
41位ハードコア7
47位最後の追跡6
47位ドラッグ・ウォー 毒戦6
47位キングダム見えざる敵6
47位ザ・タウン6
47位冷たい雨に撃て、約束の銃弾を6
47位キャプテンアメリカウインターソルジャー6
47位13時間 ベンガジの秘密の兵士6
47位キック・アス6
47位パニッシャー:ウォーゾーン6

2017年の映画あるある:俳優と監督編

2017年の映画で特徴的だった俳優と監督について語ります。

高齢化する高校生映画

20代後半のアイドル俳優たちが高校生役を演じるのも当たり前になってきました。大人な俳優が学生服を着るというのは昔からの「映画あるある」ですが、芸能事務所は学園モノを撮りたいのに事務所がゴリ押しする自社のアイドル俳優たちが20代後半になってしまった!という現象が起きています。
ピーチガール [DVD]
山本美月(1991年生まれ)とhey say jump!伊野尾慧(1990年生まれ)が高校生カップを演じる『ピーチガール』。でもこの映画は面白い!実は映画秘宝のベストテンで俺はこの『ピーチガール』をランクインさせました。ポスターから判断するとクソ映画だけど。

似たようなキャスティング現象は間宮祥太朗玉城ティナ

日本映画あるあるの「同じ俳優に同じ役が来る」現象ですが、2017年は間宮祥太朗が不良役ばっかりでした。でも3本とも全く違うタイプの不良を演じ分けていました。

全員死刑【DVD】
↑死刑判決の実話の映画化なので不良というよりも極悪人を演じた間宮祥太朗


玉城ティナは「ヒロインのちょっと変わった友人」役ばっかりでした。というかモデル出身が女優に転向した直後は「ヒロインの友人役」しか出番が無いだけなんですけどね。

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左が玉城ティナ

ブラック監督

俳優の忙しさを取り上げてきましたが、俳優だけじゃなくて監督も大忙しです。2017年はこの三人の監督が1年で三本の映画を仕上げています

廣木隆一

大ベテラン監督の廣木隆一ですが、毎年平均して3本監督しています。企画モノに雇われるイメージがありますが、『彼女の人生は間違いじゃない』は監督本人の企画。

古澤健

恋愛映画といえばこの男!職人監督です。

瀬々敬久

瀬々敬久は監督だけじゃなくて脚本も多い。どれだけ忙しいんだ…。

ちなみにこの3人の映画に共通するのはロケ撮影がやたら上手い!ということ。製作スケジュールがキツいので、ロケ撮影でガンガンとスケジュールを消化しているのが真相っぽいけど。
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↑『PとJK』の函館ロケ。このシーンは亀梨和也と土屋太鳳という超人気モノが函館の夜を疾走して、市電の終電に間に合わなかったというシーン。廣木隆一監督の映画は「ロケ地がスポンサー」が多いので特にロケ撮影の上手さが際立つ。

一礼して、キス
画像は無いんだけど『一礼して、キス』で、ロケ撮影中の池田エライザが弓を射った瞬間に偶然カモメが映り込むシーンは2017年のベストショット!古澤健監督もツイートしていたけど、ロケ撮影は想定外の奇跡が起きる。

2017年のブラック女優大賞は平祐奈

平祐奈、忙しすぎ!なんと9本の映画に出ています。

他に広瀬すずと土屋太鳳は主演作が4本も公開されています。主演作となると撮影中の拘束期間が長いのはもちろん、公開前の宣伝もフル稼働なので超絶忙しかったでしょう。これだけ露出している超有名女優なのに、俺はいまだに広瀬すずと土屋太鳳の顔の判別に数秒かかります。

ブラック男優は千葉雄大

2017年の千葉雄大は映画6本に出演しました。

千葉雄大は映画だけじゃなくてテレビドラマに8本も出ていて、しかもそのうちの一つはNHKの朝ドラです。他には萩原利久も2017年の出演作が多かったです。

2017年のオクラホマミキサー現象

似たようなキャスティングの恋愛映画が大量生産されるオクラホマミキサー現象(男優と女優をシャッフルして別の映画を作る現象)ですが、2017年はさらに進化しました。

2017年の中川大志平祐奈ReLIFE リライフ』でカップル役を演じる一方で、『きょうのキラ君』では恋のライバルを演じています。さらに言うとこの二人は2016年の『四月は君の嘘』でも共演済み。もはや恋愛映画界のキャスティングはオクラホマミキサー現象というよりも、付き合ったり別れたりを繰り返すリア充サークルのカップルみたいになりました。

2017年の映画あるある:日本映画はバスから始まる

日本映画の舞台はバスと屋上だ!

日本映画の撮影場所はバスと屋上!現代劇ではバスと屋上が出てこない映画のほうが少数派です。製作者たちは安易にバスを選んでいるのかというと、そうじゃない。バスのシーンは映画のトーンを観客に説明するときに使われます。だからバスのシーンは監督の腕の見せ所。まずは2017年の映画でバスがどう使われたのかを解説します。

恋人までの距離を表現するためにバスを使うパターン

恋愛映画では恋人同士の距離感を示すシーンでバスを使います。


心が叫びたがってるんだ。

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座席が一つ空いているので、恋人未満の関係を意味する。


『昼顔』

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隣同士なので親密な関係を意味する。


ハルチカ

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男(佐藤勝利)がヒロイン(橋本環奈)に座席を譲ることで恋心が芽生えていることを表現するシーン。


RELIFE

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画面に写っているのは千葉雄大池田エライザなんだけど、主人公カップルの中川大志平祐奈はバスに乗っていない。つまり主人公カップルがバスに乗らないことで急接近していることを意味するのだ!これは上手いアイデア

映画全体の雰囲気を印象付けるためにバスを使うパターン。

2017年はバスから始まる映画が多かったです。映画のオープニングがバスなんです。バス内を描写することで登場人物の性格や「この映画はどういうテンションなのか?」を観客に説明しています。


『トリガール』

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バスの中がオタクだらけで土屋太鳳が悲鳴を上げる。というシーンから始まる。コメディ映画であることを説明している。


ハルチカ

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橋本環奈がバスに乗り遅れてバスを叩くシーンから始まる。橋本環奈の破天荒な性格を説明している。


兄に愛されすぎて困ってます

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ストーカー気質の兄が妹の乗ったバスを襲撃!というのがオープニング。メチャクチャな映画であることを説明している。
どうでもいいけど都市部の学校生活が描かれる映画なのに、バス停が山の中であからさまにおかしい。合成臭いし。でもバス襲撃シーンに繋げるためにこうするしかなかったのだろう。アメリカの砂漠を埼玉県と言い張った『漂流街』みたいで楽しい。


『愚行録』

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これが2017年最高のバス映画『愚行録』だ。
「老人に席を譲れ」
妻夫木聡演じる主人公が怒られて
「すいません」
と謝るところから始まる。ところが主人公は足が不自由なのでバスの中は気まずい雰囲気になる。でも実は主人公の足は悪くなくて演技だ。なぜ演技したのかというと乗客たちに対する主人公の嫌がらせなのだ。この僅かなシーンだけで主人公の性格と映画の嫌なトーンが観客に説明される。

屋上が使われるパターン

日本ではテレビドラマもPVも映画もひたすら屋上を使う。2017年の屋上映画の特徴は、クライマックスが屋上というパターンが多かったです。バスはオープニングで使われるけど、屋上はクライマックスで使われるのね。

クライマックスが屋上だった映画

下記は屋上をクライマックスの舞台にした2017年の映画です。

周囲の目を気にせず撮影できるということで、大物芸能人集合!的なシーンが多かった。

屋上で踊る映画

ちなみに屋上はダンスシーンでもよく使われる。これは2017年に限った話じゃないけど。
『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』
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海辺の邦画

バスと屋上以外に、もう一つ最近急激に増えたロケ地があります。海辺です。2017年は海辺を使う日本映画が多かった。あまりにも多すぎるので列挙できないほど。とりあえず何個かあげます。画像を見れば分かるようにロングショットでよく使われる。俳優のアップ画面がやたら多い日本映画では、思う存分ロングショットを撮れる場所が海辺くらいしか無いのだろう。

『光』

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ハルチカ

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サクラダリセット

サクラダリセット』は4時間の上映時間の半分近くが屋上と海辺で展開する。
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『君と100回目の恋』

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『武曲』

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『海辺のリア』

ついに全編が海辺の映画も誕生!
海辺のリア [DVD]




で、このように日本映画が屋上とバスと海辺だらけになった結果、どうなったかというと…↓

『昼顔』と『兄に愛されすぎて困ってます』が似てる!

日本の恋愛映画は似たようなパターンを踏襲するため似たような映画が大量生産されます。2017年はドロヌマ愛憎劇の『昼顔』とドタバタ恋愛コメディの『兄に愛されすぎて困ってます』が全く違う設定なのに同じ展開になるという珍現象があった。↓こんな感じ。

ヒロインがバスに乗っていると、男が追っかけてくる

昼顔
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兄に愛されすぎて困ってます
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バスの中でビックリしているヒロイン

昼顔
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兄に愛されすぎて困ってます
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海岸でデートする

昼顔
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兄に愛されすぎて困ってます
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ヒロインは海辺の家で男と時間を過ごす

昼顔
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兄に愛されすぎて困ってます
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夏祭りに行く

昼顔
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兄に愛されすぎて困ってます
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横浜大さん橋客船ターミナルに行く

昼顔
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兄に愛されすぎて困ってます
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以前から破壊屋で書いてきたけど、女性向けの恋愛モノは夏祭りロケ&みなとみらいロケが定番であり、そこにさらにバスと海辺という新定番が加わった感じです。

*1:屋上後にも話が二転三転するけど

映画の中の映画たち2018

ワッシュさんの企画 2018-10-30 に参加します。

  1. カミュなんて知らない
  2. カメラを止めるな!
  3. 蒲田行進曲
  4. マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾
  5. ラスト・アクション・ヒーロー
  6. 僕らのミライへ逆回転
  7. 千年女優
  8. ヒューゴの不思議な発明
  9. ゾンからのメッセージ
  10. 映画は映画だ


今年のワッシュさんが映画内映画に注目したのは流石だと思う。何故なら2018年は映画内映画が多かった。以下は2018年の映画内映画。


カメラを止めるな! [Blu-ray]
社会現象になった『カメラを止めるな!』は、ゾンビ映画を撮影している人たちに起きる悲劇をワンカットで撮っている。


ブリグズビー・ベア ブルーレイ & DVDセット [Blu-ray]
ブリグズビー・ベア』は劇中劇の「ブリグズビー・ベア」という番組を、主人公が映画化するお話。かなりオススメ。


今夜、ロマンス劇場で
今夜、ロマンス劇場で』は最初に設定を聞いたときに俺は
ローマの休日』と『カイロの紫のバラ』を足しただけじゃねーか!これだから日本映画はダメなんだ!
と思っていたけど、いざ本編見たら他にも色々足しまくっていて戦後日本にあった映画愛を描いた良作でした。


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ゾンからのメッセージ』は「ゾン」と呼ばれる謎の空間に閉じ込められた町を描いた作品。登場人物たちが自主制作映画っぽいことを始めだすシーンが面白い。
ゾンからのメッセージ』は映画館で観ると映写室と連動した仕掛けがあって、映画内映画を強く感じさせた。
あと俺は横浜シネマリンで満たんだけど、シネマリンで観ると短編動画のパスワードが入手できる。で、その動画の内容が映画館から映画が消えるというもので、やっぱり逆説的に映画内映画を強く感じさせる作品であった。

カントリー・ロードの歌詞の訳し方『ローガン・ラッキー』

いきなり映画『ローガン・ラッキー』の中盤のネタバレがあります。


ローガン・ラッキー(字幕版)



ローガン・ラッキー』のオープニングは主人公と娘が歌手のジョン・デンバーの曲について語り合うシーンだ。ハッキリとは説明されないけど、ここで語られている曲は『カントリー・ロード』だ。このオープニングは伏線になっており、中盤で娘が『カントリー・ロード』を歌い出すことで伏線は回収される。このシーンに感動したんだけどその一方で、「え?カントリー・ロードってこんな歌詞だっけ?」と思った。

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調べてみるとこの字幕の歌詞は正確だった。山に囲まれて海も知らないような人々(stranger to blue water)、炭鉱街なので空は汚く(Dark and dusty)、楽しみは密造酒(taste of moonshine)なので飲んでいると泣けてくる。

つまり『カントリー・ロード』の二番は故郷をサゲる歌詞で、故郷のダメなところを歌うからこそ逆に故郷への想いが募ってくる。劇中でもウエスバージニア州の大人たちが、『カントリー・ロード』の二番を合唱するのでかなり泣ける。


が、日本だと二番の歌詞を正確に訳すよりも、もうちょっと曖昧な情景描写で訳しているパターンが多い。俺も情景描写の歌詞だと思っていた。特に「taste of moonshine」は「月光」とか「故郷の味」と訳している人が多く「密造酒」のほうが少ない。まあ確かに日本だと「密造酒の味」なんて言われてもピンと来ないので、そういう翻訳のほうが最適だとは思う。

今回の参考サイト↓、コメント欄に異論も多い。
「カントリー・ロード / Take me home, country roads 」の歌詞再び | ほーほの落穂拾い
『TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS』の翻訳をめぐって。: ある広告人の告白(あるいは愚痴かもね)



そういえば日本だと四星球の故郷ソング『我ら吉野川同盟』が

何もない街のはずなのにお前となら行きたいとこがようけようけあるんじゃ

とあって、これも故郷をサゲることで故郷愛が募る歌詞だ。



最後に:さらに『リトル・ミス・サンシャイン』のネタバレ!

ローガン・ラッキー』の子供ミスコンのシーンは『リトル・ミス・サンシャイン』と全く同じなのに、逆の展開を見せる。『リトル・ミス・サンシャイン』の子供ミスコンは子供がエロい歌で踊りまくることで、アメリカ的保守への反発を表現した超名シーンだ。逆に『ローガン・ラッキー』は最新のエロ系ポップソング*1を歌う予定だった子供が父親の意見に従って『カントリー・ロード』を歌い出すことで、古き良き田舎の保守的な空気を感じさせる。

*1:リアーナの『アンブレラ』なので本当にエロ系なのかどうかは判断が分かれる

敗北した敵ヒロインと浮気するスーパーヒーロー!『宇宙の法 黎明編』

幸福の科学は、そんじょそこらの右寄り映画よりもさらに右を行く保守映画を作ってきたはずですが、彼らの最新作『宇宙の法 黎明編』がまさかのリベラル路線のストーリー!右を向き続けた結果、半周回って左になったのでしょうか。



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↓はアメリカ版ポスターなんだけど、このふたりは悪役!
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解説の前に謝罪

というわけで例によって完全ネタバレ解説しますが、解説前に一つ謝罪を。『宇宙の法 黎明編(The Laws of The Universe - Part 1)』は『UFO学園の秘密(The Laws of The Universe - Part 0』の続編なのですが、『UFO学園の秘密』公開当時に俺は「絶対に続編できない」とバカにしてきました。でも本当に続編作ってしまった。これが彼らの信じる力か!俺の発言を撤回してお詫びします。

前作の主人公たちのその後


スーパーヒーローに変身した主人公。
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  • 『UFO学園の秘密』で高校生だった主人公たちチーム・フューチャーは、ナスカ大学で学生生活を送っていた。どうでもいいけど「ナスカ」ってペルーの地名が日本の学校名になっているのって変だよな。
  • 前作では超絶カッコ良かった主人公が進路を決めずに八つ当たりする男で、前作ではダメ人間だったエイスケが配信で一発大当してモテモテキャラになっているという逆転ネタが良い。
  • 彼らは大学の勉強や進路の準備に備える一方で、アメリカにテレポートしてヒーロー活動も行っていた。ここから映画はいきなりスーパーヒーローものになる。

スーパーヒーロー登場


ヒロインのファントム・イリュージョン。スカートを使わず、胸の谷間を見せないというポリコレデザインだけど、今作でミニスカ巨乳女にヒロインの座を奪われる。
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チーム・フューチャーたちはギャラクシーフォースという力を使ってヒーローに変身するのだ。ギャラクシーフォースって何だよ!?とツッコミたくなるが、劇中では「力を目覚めさせる力」と説明になっていない説明がある。あと彼らのヒーロー名がカッコ良すぎて恥ずかしい

  • 主人公は、獣人になるスペース・コマンダー
  • 主人公の恋人は、幻影を見せるファントム・イリュージョン
  • 主人公のライバルは、騎士の格好をしたホワイトナイト
  • テレポート能力のあるアブソリュート・サンクチュアリ
  • 姿を消せるインビジブル・スピア

敵を殺すのが楽しいヒーロー、大虐殺する


ホワイトナイトは闇落ちして、ポスターにも出てくるブラックナイトに変身する。
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  • だがヒーローとして敵を虐待することが楽しくなっていたホワイトナイトは、悪の少年:ダハールにそそのかされ、悪の騎士ブラックナイトに変身してしまった。
  • どうでもいいけど「悪のブラックナイト」はアメリカで公開した時に人種的な意味で大丈夫だったのか?かといって「ダークナイト」にしちゃうと別の映画だしなぁ。
  • ブラックナイトはダハールと共に3億3千万年前にタイムスリップする。何で3億3千万年前かというと、幸福の科学の教義に「3億3千万年前に大川隆法が地球に登場した」というのがあるからだ。
  • そこはレプタリアンたちの星だった。ブラックナイトの出身星プレアデウスはレプタリアンによって虐殺されていた。ブラックナイトはその恨みを晴らそうとする。
  • ブラックナイトはレプタリアンの星の天地を逆にすることで星を滅ぼす。このシーンは大迫力の良シーン!

宇宙最強の戦士ザムザ登場


ザムザ。途中しか出てこないにも関わらず主人公以上のインパクトを残す。宇宙最強の戦士でミニスカ巨乳で残虐だけど純情という夢のようなキャラ。
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  • レプタリアンはほとんど死んだ。生き残ったレプタリアンたちは船に載って地球へ脱出する。彼らを指揮するのは宇宙最強の戦士ザムザだ。ザムザは凶暴で傲慢な性格な女性である。イラつくと部下を殺したりする。
  • 主人公はブラックナイトを連れ戻すために、宇宙連合(幸福の科学の教義に出てくる異星人集団)の力を借りて3億3千万年前にタイムスリップする。
  • 主人公は3億3千万年前の地球でザムザと遭遇。アニメ版ゴジラ並に強いザムザにあっという間に負けたので、彼女の奴隷になる。
  • 主人公もザムザも標的はダハールとブラックナイトなので、一緒に旅に出ることになった。
  • ここでヒロイン交代が発生して、なんとザムザがヒロインになる!凶暴で傲慢な戦士ザムザが光堕ちしていくギャップを楽しむ物語なのだ。

新ヒロイン誕生

  • 主人公とザムザは旅の道中で偶然怪物に襲われる村民を助ける。村民たちは当然ながら「ありがとう」という言葉を伝えるが、「ありがとう」という概念の無いザムザは戸惑う。
  • ザムザは村民たちの結婚式に出席することになった。主人公から「キス」という概念を説明され「愛って何だ?」と考えるようになるザムザ。
  • しかしザムザは村民たちにゴミ出しをお願いされたことで「私は宇宙最強の戦士だぞ!」と激怒。大暴れする。
  • 大暴れするザムザだが、そこに現れた地球の女神と戦って敗北、グルグルに縛られたザムザは「クッ、殺せ!」「だが部下の命だけは助けてやってくれ」と懇願する。
  • だがザムザの部下のレプタリアンたちは、敗北したザムザに興味を無くし裏切る。そしてザムザの代わりにもっと強い戦士であるブラックナイトの部下になる。えーと、レプタリアンたちは自分たちを虐殺したブラックナイトの味方になるっておかしくない?この映画の脚本はそれなりに良いけど、ここは大失敗だと思う。

幸福の科学の写輪眼発動


これが諸悪の根源ダハール。彼の正体はなんと…。
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  • ここからは『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のソコヴィアみたいな展開なので、だいぶハショる。
  • 主人公はかつての親友だったブラックナイトに再会、戦いに勝利しブラックナイトを正気に戻す。
  • ブラックナイトをそそのかし、レプタリアンの星を滅ぼし地球征服を狙う少年:ダハール。彼の正体がついに明らかになった。ダハールの正体は宇宙の根源的な○であり彼の体は巨大な○○だったのだ!
  • ↑えーとこのオチって現在製作中の有名ハリウッド映画のオチと同じだよね?まさかまだ完成していない本家映画よりも先にこのネタをやるとは…。先にパクるというマンガ『NARUTO』でカカシが見せた写輪眼のような技だ。もしくは『スター・ウォーズ』が日本公開される前に大急ぎで作ったスター・ウォーズパクリ映画の『宇宙からのメッセージ』とか。ちなみにそのハリウッド映画とはコレです。

アルファ神が登場してリベラル演説

  • ダハールは主人公を殺そうとするが、実は主人公に惚れていたザムザが身代わりとなって死ぬ。ちなみに本当のヒロインであるファントム・イリュージョンは一度も出てきていない
  • ザムザは死ぬ前に「お前は奴隷で私が主人だ、お前を守るのは当たり前だ」とつぶやく。
  • ダハールを倒すために地球の神:アルファ神が登場する。アルファ神とは大川隆法が最初に地球に登場したときの形で超イケメン
  • ダハールとアルファ神の壮大な戦いの結果アルファ神が勝利し、ダハールは消える。
  • ここでアルファ神は地球に住む人々(3億年前に人は無いけどさ)に対して「自由に生きよう」「移民は受け入れよう」「移民受け入れは衝突が発生するけど、相手を尊重しよう」というリベラル演説をかます



追記:コメントで指摘されましたが、これはネオリベの意見ですね。

唐突にラストシーン

  • アルファ神はザムザを生き返らせる。
  • 生き返ったザムザを見て主人公は大喜び、思わず抱きつく。ザムザはビックリして「か、勘違いするんじゃない!」と慌ててかわいい。
  • 正気に戻ったホワイト・ナイトとザムザ。彼らはお互いがお互いに民族虐殺しているという仲だけど、「虐殺はどっちもどっち」ということで仲良く握手する。いいのか。
  • 主人公とホワイト・ナイトは3億3千年後に戻ることになった。永遠の別れとなるタイムスリップする直前、ザムザは「私はお前を夫にしても良かった」と主人公にキスする。
  • 映画はいきなりここで終了する!まあ続編作る予定なので、わざと尻切れトンボにしたのだろう。でも教祖が浮気して教義に変更があった宗教だけあって、別のヒロインと恋仲になる映画を作るとは…。


なぜリベラル路線になったのか

幸福の科学の映画は保守寄りだった。尖閣諸島に上陸して撮影して外交問題にまでなった『尖閣ロック』や、侵略から日本を取り戻す『ファイナル・ジャッジメント』などがある。そもそも前作の『UFO学園の秘密』のラストシーンは「真の悪は中国(レプタリアン)だった!続く!」という終わり方だった。しかし今作では保守思想は消え失せ、逆にレプタリアンを受け入れるという物語になっている。
まあ教祖はアレでも作っている人たちはマトモなアニメ作家たちなわけだし。とはいえやはりこの方針転換は衝撃的だ。どうしてこうなったのか?俺の憶測なんだけど…。

  1. 大川隆法が作った最初の原作があまりにも酷すぎて、使い物にならなかった(後述する)。
  2. それで大川隆法は別の原作を作ることにした。内容はザムザと呼ばれる男のレプタリアンが改心する物語。
  3. ザムザの設定が使えると判断した脚本家チーム(個人の名前は発表されていない)が、ザムザをヒロインに変更する。
  4. さらに最近のアメコミ映画(マイティ・ソー バトルロイヤルとかアベンジャーズとか)を参照した脚本を仕上げる。

今回リベラル路線になった最大の原因は、幸福の科学の敵であった「レプタリアン」を同じ地球の仲間として描いている点だ。さらにリベラル寄りのアメコミ映画の影響を受けて「敵と仲良くなる」「移民を受け入れる」というストーリーに仕上がったのだろう。アメコミ参照ネタもパクリにならないように上手く処理している。まあ『アバター』の影響がちょっと大きいけど、幸福の科学にとって『アバター』は重要な映画なので仕方ないかな(異星人との文明交流という映画の設定が教義とマッチしている)。
あと幸福の科学映画は毎回クライマックスで演説があるんだけど、今までの映画だと妄想系専門用語が一杯出てくるので眠いことこの上なし。でも今作はわかりやすい言葉しか使ってないのも特徴的。



追記:コメントで散々ツッコまれましたが、本作は移民政策を推し進めるネオリベ的見解で大川隆法が以前から主張していた内容と一致しています。今回の映画はレプタリアン(幸福の科学の敵)との和解を描いている点が斬新です。

大川隆法が作った最初の原作はどれくらい酷いのか

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手塚治虫の影響を受けたという原作買って読んだけど本当に酷い。

  • 地球にグレイ型宇宙人がやってきて地球人を誘拐する。その対策を金星人たちが会議で考える。
  • グレイ型宇宙人は地球人を誘拐するときに、無重力光線を発射する。だから無重量光線を無効化する警備ロボットを開発する。その警備ロボットは全長20メートルで透明になれる。
  • 唐突に東北に大震災が発生するが、偉大なる日本人(大川隆法)が千葉を襲った大津波を念力で跳ね返す
  • その日本人はアメリカ人の美女とコンビを組む。
  • 二人は世界から支持されて、全世界の権力を手に入れて防衛兵器を開発する

これはちょっと使えない…。というわけで大川隆法はもう一回原作を作り直す。それがレプタリアンの物語だ。映画はこれが下敷きになっている。


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地球の全権限を手に入れて兵器開発。中二でも思いつかないストーリーだ。

その他雑感

  • 幸福の科学映画としては間違いなく上位にくる良作だった。
  • 「え?何でここ1,2年のアメコミ映画の影響があるの?」と思ったけど、本作の製作が本格スタートしたのは2018年春という超過密スケジュール。そりゃ確かに最近の映画の影響を受けるのも可能だわ。
  • 過密スケジュールのせいか、アクションシーンはちょっと物足りなさがある。
  • 本職の声優たちを使っているだけあって声優演技は充実。ザムザの声優を担当した千眼美子は芸能人枠とはいえ彼女もノリノリの名演技!
  • 大川隆法は金髪の白人に過剰な思い入れがあるらしく、偉大な人はたいてい金髪の白人なのだ。大川隆法の著作でも「金髪の白人」と外見に言及ある。

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  • 二週連続ナンバー1という大ヒットとなった本作。でも俺は映画が始まる前に座席一覧をキャプチャして実際の映画館の中と比較したけど、埋まってるはずの連席に人がいなかった。

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(これは客が少ない横浜ムービルなので、これでも混んでいるほう。ただし実際の劇場はさらに人が少なかった)