いきなり映画『ローガン・ラッキー』の中盤のネタバレがあります。
『ローガン・ラッキー』のオープニングは主人公と娘が歌手のジョン・デンバーの曲について語り合うシーンだ。ハッキリとは説明されないけど、ここで語られている曲は『カントリー・ロード』だ。このオープニングは伏線になっており、中盤で娘が『カントリー・ロード』を歌い出すことで伏線は回収される。このシーンに感動したんだけどその一方で、「え?カントリー・ロードってこんな歌詞だっけ?」と思った。
調べてみるとこの字幕の歌詞は正確だった。山に囲まれて海も知らないような人々(stranger to blue water)、炭鉱街なので空は汚く(Dark and dusty)、楽しみは密造酒(taste of moonshine)なので飲んでいると泣けてくる。
つまり『カントリー・ロード』の二番は故郷をサゲる歌詞で、故郷のダメなところを歌うからこそ逆に故郷への想いが募ってくる。劇中でもウエストバージニア州の大人たちが、『カントリー・ロード』の二番を合唱するのでかなり泣ける。
が、日本だと二番の歌詞を正確に訳すよりも、もうちょっと曖昧な情景描写で訳しているパターンが多い。俺も情景描写の歌詞だと思っていた。特に「taste of moonshine」は「月光」とか「故郷の味」と訳している人が多く「密造酒」のほうが少ない。まあ確かに日本だと「密造酒の味」なんて言われてもピンと来ないので、そういう翻訳のほうが最適だとは思う。
今回の参考サイト↓、コメント欄に異論も多い。
「カントリー・ロード / Take me home, country roads 」の歌詞再び | ほーほの落穂拾い
『TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS』の翻訳をめぐって。: ある広告人の告白(あるいは愚痴かもね)
そういえば日本だと四星球の故郷ソング『我ら吉野川同盟』が
何もない街のはずなのにお前となら行きたいとこがようけようけあるんじゃ
とあって、これも故郷をサゲることで故郷愛が募る歌詞だ。
最後に:さらに『リトル・ミス・サンシャイン』のネタバレ!
『ローガン・ラッキー』の子供ミスコンのシーンは『リトル・ミス・サンシャイン』と全く同じなのに、逆の展開を見せる。『リトル・ミス・サンシャイン』の子供ミスコンは子供がエロい歌で踊りまくることで、アメリカ的保守への反発を表現した超名シーンだ。逆に『ローガン・ラッキー』は最新のエロ系ポップソング*1を歌う予定だった子供が父親の意見に従って『カントリー・ロード』を歌い出すことで、古き良き田舎の保守的な空気を感じさせる。
*1:リアーナの『アンブレラ』なので本当にエロ系なのかどうかは判断が分かれる