破壊屋ブログ

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組織票で選ぶ2018年の映画ベストテン

衝撃の映画ベストテン

2018年最高の映画を選ぶ映画秘宝ベストテンが本日発売されます。私も選者として参加しているのでみなさん是非チェックしてください。その後はキネマ旬報、スクリーン、映画芸術と映画雑誌たちが選ぶ渾身のベストテン企画ラッシュです。
映画秘宝 2019年 03 月号 [雑誌]


そんな中、私も愛読しているWeb媒体のFilmaga(フィルマガ)の映画ベストテンが発表されたのですが、結果が凄いことになっています。世間のベストテンから明らかに乖離している。組織票というかジャニーズ票や宗教票が炸裂しているのです。せっかくなのでFilmagaの順位と前回私が集計したTwitterベストの結果と比較してみました。

filmaga.filmarks.com

1位:劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-

Twitterベストの順位:223位 砲名:山P砲、Hey! Say! JUMP
【メーカー特典あり】劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- Blu-ray豪華版 [本編BD+特典BD×2枚(3枚組)] (オリジナルICカードステッカー付)

2位:累 かさね

Twitterベストの順位:85位 砲名:関ジャニ

3位:クソ野郎と美しき世界

Twitterベストの順位:223位 砲名:元スマ砲
クソ野郎と美しき世界

4位:娼年

Twitterベストの順位:141位 砲名:松坂桃李

5位:孤狼の血

Twitterベストの順位:30位 砲名:松坂桃李
[asin:B07G78Q67D:image:large]
両作とも松坂桃李演じるいいところのお坊ちゃんが、裏社会的なところに放り込まれるという作品です。

6位:検察側の罪人

Twitterベストの順位:98位 砲名:キムタク砲、ニノ砲

7位:名探偵コナン ゼロの執行人

Twitterベストの順位:112位 砲名:安室砲(歌手じゃないほう)

8位:50回目のファーストキス

Twitterベストの順位:191位 砲名:ジョージア

9位:ボヘミアン・ラプソディ

Twitterベストの順位:1位 砲名:フレディ砲

10位:さらば青春、されど青春。

Twitterベストの順位:無し 砲名:エル・カンターレ
「さらば青春、されど青春。」オフィシャル・メイキングブック
幸福の科学の教祖エル・カンターレの自伝映画です。

Filmagaの英断

何でこんな結果になったのかと言うと

  • 一人につき何度でも投票できる
  • Filmaga会員以外でも投票できる

という制度にしたからです。私はこの集計方法をFilmagaの英断だと思います。面白い映画ランキングだったら他の映画ベストや満足度ランキングを眺めていれば良いんですからね。
集計企画を何度もやってきた私は組織票対策を実施してきましたが、そんな私でも
「組織票を認めたら、一体どういう作品が人気になるんだろう?」
というのはずっと気になっていました。Filmagaがその答えを出してくれたと思っています。

証拠画像

コード・ブルー 連打」でTwitter検索かけると、このように投票を煽るツイートが出てきます。ファンが投票煽っているのは他の映画でも同じですが『コード・ブルー』は熱意が違う。『コード・ブルー』が映画賞全然取れてないので、ファンたちが何とか映画賞を取らせようと頑張っている。
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ここまでファンを動かすだけのパワーが、『コード・ブルー』にはあるのです。

この結果から分かること

組織票全開のこの結果だからこそ、色々と判明することがあります。

  • 私が一番驚いたのは松坂桃李の人気です。歌に踊りに演技にバラエティ番組とあらゆる手段でファンを楽しませてくれるジャニーズタレントに強力な組織票が発生するのは当然だと思っています。でも演技だけで勝負している松坂桃李が4位、5位と組織票パワーでランクインするのはかなり凄い。
  • 元スマ三人がキムタク&嵐に勝っているというのも面白い。
  • あまり出来の良くない『50回目のファーストキス』がランクインしているのも山田孝之に強烈なファンがいるおかげでしょう。ちなみに共演者の長澤まさみの『嘘を愛する女』は32位。
  • そしてボヘミアン・ラプソディ』の15倍というとんでもない大量得票を獲得した『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』はやはり凄い。多くの人に愛されています。
  • 幸福の科学は出来の良い『宇宙の法 黎明編』に信者票が行かず、出来の悪い『さらば青春、されど青春。』が信者票を集めています。やっぱり教祖の自伝映画なので何らかの賞を取らなきゃマズいのでしょうか。
  • ジャニーズ砲に負けずベストテンに残った『ボヘミアン・ラプソディー』も凄いです。これがフレディ砲か。唯一の外国映画!

ベストテン圏外の注目作

  • 日本のロックバンドのTHE COLLECTORSを題材にした『THE COLLECTORS~さらば青春の新宿 JAM~』が14位。
  • 組織票や信者票よりも、もっと強力な国民票の力で『バーフバリ 完全版』が23位(バーフバリファンのことを劇中に出てくる国名にかけてマヒシュマティ国民と言う)。
  • 『ヌヌ子の聖★戦』という謎の映画が『カメラを止めるな!』を超えて28位。謎の映画ですが出演者に熱心なファンが多いことは分かりました。
  • 上位30本中24本が日本映画!『スリー・ビルボード』と『万引き家族』はTOP30圏外。まあ年に何本も観ている映画ファンなら組織票とかやらんだろうし。

組織票?信者票?

どこかの会社が指示したわけじゃないので「組織票」という言葉は不適切かもしれません。ただSNS時代の今では○○ファンの持つ力は組織票と同じ力どころか、それ以上の力を持っているんですよね。組織票よりも「信者票」のほうが正しいと言いたいところですが、リアル信者票の「幸福の科学がいるので信者票も不適切。言ってしまうなら「愛の力」でしょう。映画を評価する「斬新な演出」「見事な脚本」「テーマが深い」とか、そんなのはどうだっていい。その映画が愛されているかどうか?ただそれだけです。
組織票が勝手に発生する時点で、その映画は人を動かす力があるということです。

真の組織がやってくる

組織票と言えば日本アカデミー賞2018年度はサユリストという究極の組織票の持ち主である吉永小百合様がご主演あそばされました『北の桜守』が、『カメラを止めるな』『万引き家族』に匹敵する12部門で日本アカデミー賞にノミネートされております。
そして2018年の日本映画界には組織票よりももっと酷い、映画に出演していないのにキムタクの娘が映画賞を受賞した事件がありますからね。どういう組織力が動くとこうなるんだよ。



オマケ1:ジャニーズ砲

レビューサイトや投票企画でジャニーズ関連の作品が不自然に上位に来る現象を私は「ジャニーズ砲」と呼んでいます。ジャニーズ砲の威力は凄まじく、日本三大キャノン(波動砲、ON砲、文春砲)に匹敵します。
例えばCoco映画賞でジャニーズ関連作品の『近キョリ恋愛』が4位になった現象は当時話題になりました。
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何が凄いって142人が投票して1420点なところ。つまり142人全員が必ず1位に『近キョリ恋愛』を選んでいて、2位から10位を選ばなかったのです。あまりにも酷い組織票なので、翌年からCoco映画賞は集計方式を変更して組織票対策をしています(映画1本しか観てない人は投票できないようにした)。



オマケ2:組織票対策

映画雑誌のベストテン企画のように

  • 映画に詳しい人が投票する
  • 誰がどの作品に投票したのか可視化する

というのは非常に信頼できる方式です。しかし世間一般から声を拾う投票企画だと、企画者側には

  • 誰もが投票に参加してほしい
  • 誰もが参加しちゃうと知名度が高いだけのランキングになるし、組織票が発生してしまう

という矛盾したジレンマがあります。これは破壊屋でも同じです。

破壊屋では、2017年アニメ邦画ベストの企画では
「10本のアニメを投票した人が一位に選んだ作品は10点、3本だけアニメを投票した人には3点」
というように点差をつけました。年間10本以上アニメ邦画を観る人は少ないので、あまりアニメを見ない人でも参加できるようにする一方、ヒットしたアニメが有利にならないようにした措置でした。ヒットした作品にはそれだけで組織票的な力が発生してしまうんですね。うちは投票人数を一緒に発表するので、点差をつけなかった場合のランキングも分かります(投票人数ランキングとほぼ一致する)。