分かりにくいですが『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』のオープニングの長瀬智也。
ジャニーさんはカッコ良すぎるのでたぶん地獄行きです。
僕も地獄を目指している男なのでまた地獄で会いましょう。
それまでゆっくりお休みください。
と発言したことが話題になっている。今回はこの発言の元ネタ解説です。
天国
まず天国を解説します。私は過去に宗教映画コラムを2回書いていて(ネットにはありません)、その関係で大量の宗教映画を見ている。宗教映画を見ていていつも気になるのは「天国よりも地獄のほうが楽しそうじゃね?」という点です。基本的に天国のメリットって
- 神様と一緒になれる
- 食料に困らない
- 穏やかに生活できる
だけなんですね。これはたいていの宗教が食料事情が極端に悪かった時代に形成されているからです。だから宗教映画内の天国はいつも古代の生活を送っています。すっげーつまらなそうな描写です。
地獄
で、宗教映画は地獄描写をメッチャ頑張るんです。天国の描写は決まり切っているけど、地獄の描写は好き勝手に描ける。幸福の科学映画なんかは地獄で大冒険するという展開が定番で、地獄のシーンが楽しくて天国のシーンがつまらないのも鉄板です。
だから私はずっと「天国よりも地獄のほうが楽しそうじゃね?」という疑問に思ってました。それにハッキリと答えを出した映画があります。それがジェイ・ストーム(ジャニーズ専門の映画会社)が製作してTOKIO長瀬と神木隆之介がW主演した映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』です。
以下は完全ネタバレです。
中盤までの展開
神木隆之介演じる主人公が事故で死んでしまい地獄に行くと、長瀬智也演じる地獄の鬼キラーKと出会う。キラーKも元は人間のミュージシャンだったが超ダメ人間。恋人(尾野真千子)に散々迷惑をかけた挙句事故で死んだ。キラーKは恋人のためにラブソングを作った直後に死んだので、恋人の目の前でラブソングを演奏できなかったことをずっと後悔している。キラーKは地獄の鬼になったので転生もできない。
(地獄から現世に転生した人一覧↓)
主人公には目標ができた。現世に転生して、キラーKの恋人の前でキラーKの代わりにラブソングを歌うことだ。で、十何年もかけて何度も転生するけど動物にばっかり転生するのでラブソングが歌えない。そしてある日、その恋人も事故で死ぬ。
後半からラストシーン
恋人は天国に行った。地獄の住人たちである主人公たちには、もう絶対にラブソングを届けることはできない。地獄のロックフェスティバルで優勝して天国に転生する方法以外には。こうして主人公たちは地獄のロックミュージシャンたち(マーティ・フリードマン、ROLLY)に戦いを挑むのだ!
で、この映画のオチなんだけど主人公は天国に転生できる。キラーKの恋人の前でラブソングを演奏もできる。そして主人公は天国で生活することになるんだけど…。
ひたすら穏やかに生きていく天国の生活がつまらなさすぎて激怒。主人公は自分の意志で地獄に落ち、キラーKと再会して地獄で楽しく暮らす。地獄に落ちるのはカッコいい人。ジミヘンもランディ・ローズもゲイリー・ムーアもみんな地獄にいるのだから。
天国よりも地獄
冒頭の長瀬智也の追悼発言は、明らかに映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』の内容を受けたものだ。だから長瀬の「僕も地獄を目指している男」の意味は「俺はカッコよく生き続ける」という意思表示であって、TOKIO山口やジャニー喜多川のように性的な事件をやらかすという意味でありません。
『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』はあまり評判良くない映画だけど私は非常に高く評価している。長年宗教映画を観てきてずっと疑問だった。
「天国よりも地獄のほうが楽しそうじゃね?」
に
「その通り!地獄のほうが楽しいよ!」
とハッキリと明確な答えを出しているから。これは宗教的観念が適当な日本人だからこそ出せた答えだ。
余談1
オープニングとエンディングに流れる「カッコ良すぎて地獄に落ちた」の曲。歌っているのは長瀬智也、曲を作ったのは何とマッド・カプセル・マーケッツのKYONOである。
余談2
大ヒットした創価学会の宗教映画『人間革命』も死後の世界を否定している。戸田城聖(池田大作の師匠)が「君たちは極楽や地獄を信じるかね?私は嫌だね、酒も飲めないしネエちゃんもいない」
と説教する名シーンがあったりする。
余談3
星野源最高の名曲。このPVは日常生活よりも地獄の楽しさを歌っている。