破壊屋ブログ

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祝!『ロストケア』が映画化、注!公式がネタバレ

こんなタイトルの記事ですがネタバレ一切無しです。


葉真中顕の『ロスト・ケア』といえば、介護を題材とした社会派ミステリー小説で、そのトリックは読者を絶対に騙す衝撃のモノ。ブロガーが日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞するという派手なデビューを飾った事でも話題になりました。
この映画版『ロストケア』が2023年3月24日に公開されます。ところがです…

詳細は書きませんが、映画の宣伝が始まった時点で小説のトリックがネタバレするんです。1年前に製作発表があった時、既にネタバレしていて私はビックリしました。

でもコレは仕方が無いのです。何故なら

  • 2013年:『ロスト・ケア』発表
  • 2016年:相模原障害者施設殺傷事件
  • 2018年:大口病院連続点滴中毒死事件(逮捕)

と『ロスト・ケア』発表後に『ロスト・ケア』みたいな事件が現実で発生しているんですね。私は
「事件発生後にロスト・ケアはよく炎上しなかったな」
と今も思っています。現実で殺人事件が起きたのに
「真犯人は誰だ?そのトリックは?」
みたいな映画は出来ないでしょう。あえてネタバレ状態にして
「どうして、この犯罪が起きたのか?」
という要素を主題に持っていくしかありません。

ミステリー小説を映画化する時に、ネタバレが前提になるのはよくある話です。直木賞を受賞した『私の男』は映画化する際に時系列を逆にしたので、原作のミステリー感が薄れています。
葉真中顕の最大ヒット作『絶叫』は、原作だと中盤で殺人事件の犯人が分かる構造ですが、実写版もマンガ版も第一話で犯人をネタバレしています。ネタバレしておかないと「これって何の話なの?」と視聴者がついていけないのです。

というわけで映画『ロストケア』の存在自体が小説『ロスト・ケア』のネタバレになっているのは仕方ないのです。でも3月に映画『ロストケア』の宣伝が始まった瞬間、全日本人から小説『ロスト・ケア』を読んだときの衝撃が奪われてしまうのが勿体ない気もする。ちなみに『ロスト・ケア』の「ケア」は「介護」を意味しますが、他にも日本社会が色々なことを「ロスト(失う)」していることも含めてます。
ロスト・ケア (光文社文庫)



話はちょっとズレますが、2022年人類最大のネタバレだった『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のアレだって今や宣伝要素ですし、『進撃の巨人』の数々のネタバレ要素はアニメ化や映画化されるたびに一般常識になりつつあります。人類に「あらゆるコンテンツを初見のように楽しめる」技術は開発できないものか!?すごく危険そうだけど。